LG Energy Solutionは2月15日、米国のNEC Energy Solutionsの買収が完了したと発表した。買収額は非公表。
買収は2021年9月に明らかになっていたが、各国の規制当局の承認など必要な手続きの終了を条件としていた。
LG Energy SolutionsはLG化学の電池事業を引き継ぐ形で2020年12月に設立された100%子会社で、電気自動車、モビリティとITアプリケーション、蓄電システム向けのリチウムイオン電池事業を主な事業内容とする。
2020/9/19 LG Chem、電池部門を分社化
日本電気は2021年9月3日、100%出資の米子会社 NEC Energy Solutions, Inc.の全ての株式を LG Energy Solutionに譲渡することを決めたと発表した。
NEC Energy Solutionsは、電力向け大規模蓄電システムおよび産業用高性能リチウムイオン電池ALMシリーズの設計・製造およびシステムインテグレーションを行うメーカー。
同社は下記の歴史を持つ。
2006年に米国電池メーカ A123Systems のPack & System部門としてA123 Energy Solutionsが発足した。
独自のオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)ベースの正極材料「Nanophosphate」を使ったリチウムイオン電池や、蓄電技術/制御/設備を含めたパッケージ提供で実績のある電力会社向け蓄電システム「Grid Storage Solution」によるSI技術、および顧客の課題を解決する優れたシステム提案力が特徴。
2012年10月に連邦破産法11条の適用を申請した。同年12月に行われた同社の資産売却の入札で、NECと 中国の万向集団(Wanxiang Group)が競合し、最終的には万向集団が2億5660万米ドルで落札した。
NECは2014年3月、その万向集団(Wanxiang Group)からA123 Energy Solutionsを約1億米ドルで買収すると発表した。
スマートエネルギー事業と統合してNEC Energy Solutions社として再出発した。
万向集団は、売却収入で、経営破綻した米国の高級プラグインハイブリッド車(PHV)メーカーFisker Automotive Inc.の資産を買収した。
その後、再生可能エネルギーの普及にともない、蓄電システム市場は拡大しているものの市場競争が激化しており、NEC Energy Solutionsは売上高が増加する一方で大規模な損失を改善できていなかった。
売上高 営業損益 2019年3月期 7700万米ドル -4,310万米ドル 2020年3月期 1億5240万米ドル -9,100万米ドル 2021年3月期 2億0730万米ドル -5,720万米ドル
NEC は2020年6月に、新規受注を停止し契約済プロジェクトの遂行および保守のみ継続することを決定した。
その後、事業収束プロセスと並行して株式譲渡の選択肢も検討した結果、LG Energy Solution への株式譲渡を決定した。
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LG Energy Solutionは買収したNEC Energy Solutionsを社名変更し、LG Energy Solution Vertech. Inc. とする。 競争力を強化するためシステムインテグレーション能力の内在化が必要だと判断し、買収した。
今回の買収をもとに、単純なバッテリー供給を超えてシステムインテグレーションまで提供する完結型事業とする。
ESS(エネルギー貯蔵)事業企画、設計、設置、メンテナンス等をすべて行う計画で、バッテリー、電力変換装置(PCS)を含めた必須資材などを統合し、ESS事業の最適化に至るまですべてのサービスを提供する。既存のバッテリー生産能力に、ESSシステム統合の管理力量が加われば、十分なシナジー効果が出せると判断した。
「今回の買収を通じ、顧客別の要求事項にオーダーメードで対応できるESS統合ソリューションの競争力を確保することになった」とし「差別化された技術と品質競争力をさらに強化し、世界のESS市場を主導していく」としている。
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