米議会下院は1月25日、中国に対抗するため先端技術の競争力向上をめざす包括法案The America COMPETES Act of 2022 を公表した。
上院は2021年6月8日に同様の法案 United States Innovation and Competition Act を異例の超党派で可決している。
米政府は半導体業界へ計520億ドルの補助金を拠出する方針で、Samsung は補助金支給条件などを確認した上で、新工場建設を決定したという。Intelも補助金を前提にしている。
バイデン大統領は2021年3月31日、2兆米ドルを超えるインフラ投資計画 American Job Planを発表した。
そのうち、R&D、製造近代化、中小企業として5,800ドルが含まれているが、大統領は、この中から米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億米ドルを割り当てることを明らかにした。
ホワイトハウスは、「超党派議員グループによって提唱されたCHIPS for America Act、American Foundries Act of 2020 の要望に従い、半導体の製造および研究に資金を投入する指示も出している」と述べた。
2021/10/22 半導体供給問題:米国の場合
最終的にこれをAmerican Job Planから外し、上院のInnovation and Competition Act に折り込んだ。
上院のInnovation and Competition Actは、様々な分野で中国の影響力に対抗することが狙いで、「米国のイノベーションを一段と後押しし、今後数世代にわたって我が国の競争優位性を維持する内容」としている。
米国の技術や科学、研究に合わせて5年間で総額2500億ドルを投資する。
米議会が2021年1月に成立させた国防権限法に半導体生産を強化する方針を示したことを受け、半導体・通信機器の生産・研究の強化に約540億ドルを支出する。うち20億ドルは、深刻な供給不足に陥っている自動車向け半導体に充てられる。
政府補助金をてこに国産半導体の育成を急ぐ中国をけん制する狙いがある。
2021/6/11 米上院、対中包括法案を可決
しかし、この法案は「中国対抗法案」との位置づけで、新興技術の研究開発や台湾の支援強化など様々な条項を盛り込んだため、下院との法案すり合わせに時間がかか った。
今回、与党・民主党の議会指導部が公表したAmerica COMPETES Act では、2022会計年度(21年10月~22年9月)から5年間で上院と同じ計520億ドルの補助金を出す。
今後は下院の法案可決や上下院による法案の一本化などが必要だが、大統領は「法案の前進に向けて重要な一歩だ」と述べ、早期の議会通過に期待を示した。
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