米議会下院は2月4日、中国に対抗するため先端技術の競争力向上をめざす包括法案 The America COMPETES Act of 2022 を賛成多数で可決した。
下院民主党が1月25日に公表した法案で、上院は2021年6月8日に同様の法案 United States Innovation and Competition Act を異例の超党派で可決している。
2021/6/11 米上院、対中包括法案を可決
2022/2/1 米下院、半導体補助金法案を公表
いずれも、中国政府が巨額の産業補助金を投じるハイテク産業政策「中国製造2025」(末尾参照)に対抗するもの。
上院は超党派で可決したが、下院では民主党が賛成、共和党が反対した。(共和党1議員が賛成、民主党1議員が反対)
共和党 | 民主党 | 合計 | 欠員 | |
賛成 | 1 | 221 | 222 | |
反対 | 209 | 1 | 210 | |
棄権 | 2 | 2 | ||
合計 | 212 | 222 | 434 | 1 |
* 昨年来の欠員1名は1/11の補選で民主党が確保。別途、1/1に共和党員が辞職(6/7に補選)
国内の半導体生産支援に約520億ドルを充てる。半導体製造・組み立て・試験・先端パッケージ・研究開発のための施設・装置の建設・拡充などを財政支援する。
上院が2021年6月8日に異例の超党派で可決した United States Innovation and Competition Act と同様である。
商務省は1月24日、これら半導体産業振興策の承認を見越し、支援枠組みの設計・運用について利害関係者からのコメント募集を始めている。
米国で最先端半導体の工場を建設する台湾積体電路製造(TSMC)やIntel、韓国サムスン電子などに配る。
加えて、米国のサプライチェーン強化に重点を置き、米国の経済・安全保障にとって重要な製品の供給不足を防ぎ、それら重要製品の国内生産を促すための補助金やローンに450億ドルを拠出する。
重要製品には、公衆衛生や情報通信技術、エネルギーや交通、食糧などが挙げられている。
2021/6/12 米国の重要部材のサプライチェーンの点検結果と対策
また、エネルギーやバイオテクノロジーなど先端技術のR&Dを支援、5年間で133億ドルを投じる。
バイデン大統領は、中国や世界との競争における米国経済のエンジンを再活性化すると指摘、両院が示した国内産業支援策が米国に製造業の雇用を取り戻し、半導体などのサプライチェーンの目詰まり解消に寄与する、と評価し、早期の法案可決に期待を示した。
今後、上下両院で法案の一本化を目指すが、共和党は下院案に盛り込まれた気候変動対策などに反発しており、調整作業の難航が予想されている。
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参考 中国製造2025 (Made in China 2025)
2015年5月に公表された。
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし,
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。
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