バイデン米大統領は2月22日、レアアースなど重要鉱物の国内生産を後押しするための投資計画を発表した。
バイデン米大統領は2021年2月24日、重要部材のサプライチェーン(供給網)を見直す大統領令に署名した。半導体や電池など重点4品目で安定した調達体制を整え、中国依存からの脱却を目指す。
先ず重要4品目の供給網を100日以内に見直す。リスクを調べ、それへの対応策の提案を求める。
担当 | 品目 |
商務長官 | 半導体と先端パッケージング |
エネルギー省長官 | 電気自動車用を含む高容量電池 |
国防長官 (国家防衛備蓄を担当) |
レアアースを含む重要な金属や特定の戦略的物質 |
保健福祉長官 | 医薬品及び医薬品有効成分 |
2021/3/1 米、半導体などの供給網見直し
これを受け2021年6月8日に報告書が公表された。
国内の投資不足や競合国の不公正な貿易慣行により、米国の供給網が脆弱になっていると指摘している。
国内生産・研究開発支援に少なくとも500億ドルを投じるよう議会に要請したほか、日本や韓国など同盟国を巻き込んで世界的な安定供給体制を目指す「国際フォーラム」を開催する方針を示した。
2021/6/12 米国の重要部材のサプライチェーンの点検結果と対策
今回、具体的な投資計画を発表した。
北米唯一のレアアース鉱山を米西部カリフォルニア州で運営するMP Materialsに対し、国防総省の支援プログラム(Department of Defense Industrial Base Analysis and Sustainment Program)から3500万ドルを投資し、Mountain Pass鉱山で重希土類元素(HREE) の採掘から分離・精製まで自前でできるようにする。
国防総省は2020年12月にMountain Pass鉱山で軽希土類元素の処理を復活させるため960万ドルを出している。
軽希土類に加え、重希土類の処理が出来ることで、MP Materials は高機能永久磁石を製造するのに必要な全てのレアアースを抽出・精製できるようになる。
Mountain Passでの採掘、処理に加え、MP Materialsは7億ドルを投じ、テキサス州Fort Worthでレアアースメタル、アロイ、磁石を製造するプラントを建設中である。Mountain Passで生産した原料をここで加工し、完全に国産の垂直統合の磁石のサプライチェーンを2024年に完成させる。
2021年12月に同社はGMとの間でGMのEVの電機モーター用にレアアース製品と磁石を供給する契約を締結した。
現在、世界の永久磁石市場の87%を中国が支配している。
バイデン大統領は更に、下記を明らかにした。
- Berkshire Hathaway Energy Renewables
今春、カリフォルニア州Imperial Countyで、次の5年でリチウム生産に数十億ドルを投資する計画の一環として、地熱塩水からリチウムを抽出する計画の商業的実現可能性のテストのための試験設備建設に着手する。
- Redwood Materials
Ford とVolvoと組んで、ネバダの施設で使用済みリチウムイオン電池からリチウム、コバルト、ニッケル、黒鉛を回収するパイロットプラントを検討する。
ーーー
米国ではMolycorpがCaliforniaのMountain Passでレアアースの採掘と生産を行っていた。
同社は2015年6月25日、連邦破産法11条の適用を申請した。
2017年にMP Materials がMountain Pass鉱山と他のMolycorp の資産を買収し、2019年に凍結していた精製設備を再稼働することを決めた。
MP Materials は2020年7月31日、国防総省との間で米国でのHeavy Rare Earths 生産再開で契約を結んだと発表した。
2020/7/31 米国防総省、レアアース事業へ資金支援
Mountain Pass全景
コメントする