エーザイは3月15日、米Biogeenと共同開発するアルツハイマー病治療薬ADUHELMについて、2023年1月以降は共同開発・販売から手を引き、販売額に応じた収入を得る契約に切り替えると発表した。
エーザイとBiogenは2014年3月に提携を開始した。
現状は次の通りで、アリセプトを除き、開発で提携している。
エーザイ | アリセプト 〈提携対象外〉 (donepezil) |
エーザイの杉本八郎博士らが開発 |
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。
アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。 |
新規ヒト化モノクローナル抗体 「BAN2401」 2022年度中に申請 |
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 | アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去 | |
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤 elenbecestat「E2609」 x試験中止 |
エーザイが創製
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アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。 | |
Biogen | 抗アミロイドβ(Aβ)抗体 aducanumab(ADUHELM) x→ 申請→FDA優先審査 2021/6/7 迅速承認 |
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 | アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。
aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる |
2017年の提携契約拡大で、エーザイは、BiogenのADUHELM に対する共同開発・共同販促オプション権を行使した。 (一時金 なし)
両社は、ADUHELMの販売に向けて各地域において各社が有する強みや販売基盤をレバレッジするとともに、売上に応じて各社が得る地域別利益配分を調整する。
売上計上 利益帰属
エーザイ Biogen 日本とアジア
(中国と韓国を除く)エーザイ 80% 20% 米国 Biogen 45% 55% 欧州 31.5% 68.5% その他地域 50% 50%
開発費負担:
Biogen エーザイ ~2018/3 100% ー 2018/4~2018/12 85% 15% 2019/1~ 55% 45%
今回の変更で、2023年1月1日以降、エーザイは、グローバルな損益分配モデルに代わり、ADUHELMの売上に応じて、2%~8%の段階的なロイヤルティを受領する。
暦年売上高 ロイヤルティ率 250 百万米ドル以下 2% 250 百万米ドル超~500 百万米ドル 3.5% 500 百万米ドル超~10 億米ドル 6% 10 億米ドル超 8%
今回の合意に伴って、BiogenはADUHELMに関し、全世界における単独での意思決定権および商業化権 を持つ。エーザイは、ADUHELMに関して、ロイヤルティの受領以外に、いかなる経済的権利・義務も有しない。
ADUHELMは米国で条件付き承認を取得したが、有効性への疑義などから普及が進んでいない。
米食品医薬品局(FDA)のJanet Woodcock長官代行は7月9日、米製薬企業Biogenと日本のエーザイが共同開発したアルツハイマー病新薬ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、FDAの承認手続きに疑義が生じたとして、米保健福祉省の監査部門に調査を要請したと発表した。
2021/7/12 FDA、アルツハイマー新薬承認手続きにつき調査を要請
エーザイは同じく両社で共同開発する次期候補薬BAN2401に経営資源を集中させる。
開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(BAN2401)については、両社は、共同で開発および商業化を継続する。
エーザイは引き続きレカネマブの開発、薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで両社が共同商業化・共同販促を行う。
両社は、レカネマブに関する経済的権利及び義務を等しく有し、エーザイは全売上を計上し、損益は両社で折半する。
また、レカネマブの供給契約は5年から10年に延長され、Biogenイは、スイスのソロトゥルンの工場でレカネマブの原薬を製造し、全世界に安定供給する。
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