英BPは2月27日、ロシアのRosneftの持株19.75%全てを売却すると発表した。BP側が出している2人の取締役、BP のCEOのBernard Looney と元CEOのBob Dudleyは直ちに辞任する。
Rosneftと手掛けてきたロシア国内での合弁事業も全て解消し、ロシアから事実上撤退する。
BPの財務に最大250億ドル(約2兆8900億円)の打撃となる可能性がある。
Helge Lund会長は発表文で「今回の軍事行動は根本的な変化をもたらした」とし、「BP取締役会は徹底的なプロセスを経た末、国有企業であるロスネフチとの関係は断じて継続できないとの結論に達した」と説明した。
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BPは当初、ロシアの投資家グループAlfa-Access-Renova(AAR) との合弁で石油会社TNK-BPを運営していた。
露石油最大手 Rosneftは2012年10月22日、TNK-BPを、BP、AAR 双方から合計550億ドルで買収することを明らかにした。
BPはJVの50%を譲渡し、現金171億ドルとRosneftの株式 12.84% を取得する。
BPは同時に、ロシア政府からRosneft株式 5.66%を48億ドルで買収する。(BPはネットで123億ドルを受け取ることとなる。)
BPは既にRosneft株式 1.25%を保有しており、この取引で合計19.75%を保有することとなり、Rosneftの取締役会に2人の取締役を出す。
Rosneftにはロシア政府が75%出資し、残りは上場している。
BPは2013年3月21日、本取引を完了した。
2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収
2014年にクリミヤ・ウクライナ紛争が起こった。
しかし、当時のBPのBill Dudley CEOは、「Rosneftが制裁対象ではない。ロシアの事業には影響はない」と語った。
BPとRosneftは5月24日、ボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区などの開発を推進する覚書を締結した。
BPは6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。
Dudley CEO は2014年11月、ロシアでの投資を継続する方針を示すとともに、Rosneftの持株(保有比率 19.75%)を売却する計画がないことを明らかにした。
2014/7/3 BP、ロシア制裁開始後にRosneft との関係を強化
BPとRosneft は2015年6月19日、両社の長期的な戦略提携を強化する数件の契約に調印した。
東シベリアの最大の油田の一つで、現在日量2万バレルを生産するSrednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発権を有するTaas-Yuryakh Neftegazodobycha (Taas)の20%をRosneftから取得し、新しいJVを設立した。
これに加え、両社は西シベリアとYenisey-Khatanga 盆地の26万平方kmに及ぶ地域を共同で開発することで合意した。
各国によるロシア制裁で各社とロシアの石油事業での提携が停滞するなか、BPは提携強化を進めた。
2015/6/23 BPとロスネフチ、長期戦略関係を強化
BPの2021年12月期の決算でRosneft 事業は税引き・利払い前利益の2割弱を稼ぎ出した。
今回、ロシアは2月24日にウクライナに対する軍事侵攻に踏み切ったが、BPのBernard Looney CEOは2月14日の時点では、ロシアで手掛けている石油・ガス事業について、同国と西側の緊張の高まりによる影響を受けていないとし、引き続き事業を手掛ける方針を表明した。但し、西側がロシアに制裁を発動すれば、BPとして順守すると付け加えた。
ロシアの軍事侵攻を受け、英国の民間企業・エネルギー・産業戦略相は2月25日、BPのBernard Looney CEOを呼び、ロシア事業について聴取した。複数の英メディアが報じた。ウクライナに軍事侵攻したロシアに国際社会が経済制裁を強めるなか、同国での事業展開に懸念を伝えたとされる。
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