COVID-19感染経路、感染研がようやく、エアロゾル感染認める 

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新型コロナウイルスの感染経路について、国立感染症研究所は3月28日、ウイルスを含んだ空気中に漂う微粒子(エアロゾル)を吸い込んでも感染するとの見解をホームページで公表した。

感染研はこれまでエアロゾル感染に否定的で、飛沫感染と接触感染だけを挙げた報告書を発表していたため、国内の科学者が「世界の知見とは異なる」と説明を求めて公開質問状を出していた。

本件については、厚労省もエアロゾル感染を認めていなかったが、2021年10月末に認めた。

WHOや米疾病対策センター(CDC)は今春、新型コロナは空気中に漂うウイルスを含んだ微粒子「エアロゾル」を吸い込むことで起きる「空気感染」(エアロゾル感染)が感染経路だと明記した。

しかし、国は「飛沫感染や接触感染 」が原因とし、かたくなに空気感染を認めていなかった。

当初の厚労省のウェブサイト:

新型コロナウイルス感染症は、主に飛沫感染や接触感染によって感染するため、3密(密閉・密集・密接)の環境で感染リスクが高まります。
このほか、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間におよぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、居場所の切り替わりといった場面でも感染が起きやすく、注意が必要です。

厚労省は10月末にウェブサイトを下記の通り修正し、エアロゾル感染を主たる感染原因と認めた。

感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。

一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

また、ウイルスが付いたものに触った後、手を洗わずに、目や鼻、口を触ることにより感染することもあります。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

2021/9/17  コロナ空気感染、不都合な真実?

これに対し、感染研はこれまで認めていなかった。

このため、2月1日付で東北大学本堂毅教授を事務局とする専門家が 脇田隆字所長宛の公開質問状を出している。

感染研の次の見解に疑義を表し、「感染経路が主に飛沫感染と接触感染であるならば,その発生頻度は換気とは関係しないはず」としている。

現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず,従来通り感染経路は主に飛沫感染と,接触感染と考えられた.また,多くの事例が従来株やデルタ株と同様の機会(例えば,換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起こっていた.基本的な感染対策(マスク着用,手指衛生,換気の徹底等)は有効であることが観察されており,感染対策が守られている場では大規模な感染者発生はみていない。

また、世界的にコンセンサスを得られている科学的知見との不一致について質問している。

新型コロナウイルスの主たる感染の運び手はエアロゾルであって,Fomite infection(接触感染)は稀であることが,世界の科学界のコンセンサスとなっていると考えます.

このことは,WHOやCDCも認めており,だからこそCDCは最近医療従事者だけでなく国民へのN95マスク着用の推奨までしているわけです.

これに対し、感染研は「研究者の間で議論の途上にあるところと認識」していると返事をしている。


感染研は3月28日発表( 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について)でようやくエアロゾル感染を認めた。

人は、咳、くしゃみ、会話、歌、呼吸などの際に、鼻や口からさまざまな大きさや性状をもった粒子を空中に放出する[1-5]。粒子はその大きさや含まれる液体の量によって空中での振る舞いが異なる。液体を含んだ大きな粒子は、放出されてから数秒から数分以内に落下するが、小さな粒子や乾燥した粒子は、空中に数分から数時間にわたって浮遊する。従来、これらの粒子については大きさや性状に応じて飛沫やエアロゾルと呼ばれてきた。

SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。その経路は主に3つあり、
①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)、
②ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)、
③ウイルスを含む飛沫を直接触ったか、ウイルスが付着したものの表面を触った手指で露出した粘膜を触ること(接触感染)、である。

但し、最後に次のように述べている。

なお、呼吸器感染症の感染経路については国際的に研究が進められており、これらの知見は今後更新される可能性がある。

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