米国の内務省海洋エネルギー管理局は2月25日、 ニューヨーク州ロングアイランドとニュージャージー州の間に広がるニューヨーク湾(New York Bight)での洋上風力発電のリース権入札が総額43億7千万ドルで成立したと発表した。
リース権入札にかけられた地域はの6つの地域で、その総面積は約49万エーカー(約2,000平方キロ)。生成予定電力量は5.6ギガワット(GW)で、200万世帯近くの電力を賄う量とされる。
ニューヨーク州やニュージャージー州政府は、2035年までにそれぞれ風力発電を9GW、7.5GWに拡大する目標を掲げている。
バイデン政権では2030年までに洋上風力発電を30GWに拡大する目標を掲げている。
ホワイトハウスは2021年3月29日、内務省やエネルギー省、商務省などと共同で、洋上風力発電能力を拡大する方針を発表した。2030年までに30GWの洋上風力による電力生成を目指す。30GWは1,000万世帯以上への年間電力供給に十分な量となる。
落札企業は下記の通りで、上から5社は欧州系企業、最後は米国系企業である。
Lease Area | Acres |
百万ドル |
|
Mid-Atlantic Offshore Wind LLC (Copenhagen Infrastructure Partners Fund) |
OCS-A 0544 | 43,056 | 285 |
OW Ocean Winds East, LLC (50:50 スペイン EDP Renewables & フランスENGIE.) |
OCS-A 0537 | 71,522 | 765 |
Attentive Energy LLC (Total Energies Renewables USA, LLC) |
OCS-A 0538 | 84,332 | 795 |
Bight Wind Holdings, LLC (独RWE Renewables & 英 National Grid). |
OCS-A 0539 | 125,964 | 1,100 |
Atlantic Shores Offshore Wind Bight, LLC (50:50 Shell New Energies US LLC & EDF Renewables North America) |
OCS-A 0541 | 79,351 | 780 |
Invenergy Wind Offshore LLC (Invenergy & energyRe) |
OCS-A 0542 | 83,976 | 645 |
現状の洋上風力発電サイトはロードアイランド州沖にある30メガワット(0.03GW)とバージニア州沖にある試験プロジェクト2カ所だけ。
米国初の洋上風力発電所 Block Island Wind Farmが2016年12月12日、運転を開始した。場所は米国東海岸ロードアイランド州 Block Islandの約6km沖。事業主は同発電所を建設するために組成されたDeepwater Wind。同発電所の設備容量は30MW(6MWタービン5基)と欧州のものに比べ小規模だが、米国初の洋上風力発電所が誕生した。
米Dominion Energyは2019年7月1日、バージニア州の大西洋沿岸27km沖で、米国で2ヶ所目となる洋上風力発電所「Coastal Virginia Offshore Wind」の建設に着工した。設備容量は6MWが2基で合計12MWで、パイロット・プロジェクトの位置づけ。
米国内務省は2021年10月13日、2025年までに国内最大7カ所で洋上風力発電所を開発し、同発電所のリース使用権の販売を進める計画を発表した。
洋上風力発電所の予定地はメイン湾、ニューヨーク湾、中央大西洋沖、カロライナ沖合、メキシコ湾、カリフォルニア沖合、オレゴン沖合の7カ所。
具体的なエリア選定を既に終えているニューヨーク湾(上記)やカロライナ沖合では、それぞれ2022年第1四半期(1~3月)、2022年5月ごろに開発を完了するとしており、カリフォルニア沖合は同年9月ごろ、メキシコ湾も同年末ごろの開発完了を目指すとしている。
そのほか、中央大西洋沖では2023年第2四半期(4~6月)、オレゴン沖合では同年第3四半期(7~9月)、最も遅いメイン湾では2024年半ばごろの開発完了を目指す。これらの開発は30GWの発電容量目標達成に寄与することに加え、約8万人の雇用を創出するとしている。
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日本でも国が洋上風力発電の公募を行なっている。
2022/2/24 国の洋上風力発電公募入札の評価基準が問題に
これについては、金額が優先され、運転開始時期が低く評価されていることが問題となっていた。
経済産業省は3月18日、洋上風力発電の事業者を公募する際の審査基準を見直す方針を発表した。ウクライナ危機を受け、国産エネルギーの導入を加速する必要があると判断し、早期に稼働できることを重視する方向で検討する。
3月22日の経産省などの審議会で具体的な議論を開始する。現在公募中の「秋田県八峰町・能代市沖」は、6月10日までとしていた公募期間を延長して新たな審査基準の適用を目指す。
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