プーチン大統領、ロシアの天然ガス購入をルーブル支払いに

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ロシアのプーチン大統領は3月23日、非友好的と指定した国がロシアから天然ガスを購入する際には通貨ルーブルでの支払いしか認めない方針を示し た。関係閣僚とのオンラインの会議で西側の各国がロシアの外貨準備を凍結したことを批判し「このような状況でドルやユーロなどの外貨でわれわれの商品の支払いを受ける意味はない」と述べた。

そのうえで「まず非友好国と地域に供給する天然ガスの支払いをルーブルに変更する。一連の措置を速やかに講じることを決定した」と述べ た。

ルーブルは厳しい経済制裁で大幅に値下がりしてい るが(下のグラフ)、需要家が天然ガスの調達に伴ってルーブルを買う必要がある仕組みにすることで相場を支えるねらい がある。

プーチン大統領は、3月5日付大統領令第95号「特定の外国債権者に対する債務返済義務の一時的手続きについて」に署名、即日発効した。

ロシア政府やロシアの個人・法人が特定の外国債権者に対して債務(金融商品を含む)を負っている場合、ルーブル建てで返済することを認める内容で、西側諸国の対ロ経済制裁への対抗策の一環。

本措置は、返済額が暦月において1,000万ルーブル(約900万円)以上もしくは相当額の外貨の場合に適用される。

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ロシア政府は3月7日、日本や欧米諸国など48の国・地域を「ロシアに対する非友好的な活動をする国・地域」に指定した。ウクライナ侵攻に伴う対ロ制裁を実施している国や地域としている。

ウクライナ、米国、英国、EU加盟国(27カ国)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、ノルウェー、シンガポール、台湾、

モンテネグロ、スイス、アルバニア、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、サンマリノ、北マケドニア、ミクロネシア (以上合計48カ国)

  2022/3/9 ロシア、日本などを非友好国に指定 

プーチン大統領は閣僚会議で「ロシアは当然、これまでに締結された契約通りの量と価格で天然ガスの供給を継続する」と述べた。

ロシアの天然ガス大手ガスプロムは欧州などへの天然ガス輸出の58%をユーロ 、約39%を米ドル、約3%が英ポンドで行なっていた。


これに対し、エネルギーの供給を受ける欧州各国の首脳らは、「基本的に契約違反になる」などと相次いで反発し 、決済通貨の一方的な変更は契約違反になるとの認識を示した。

ただ、欧州は消費するエネルギーの多くの割合をロシアからの輸入に依存しており、契約違反として購入をとりやめることは出来ない。今後、購入する企業がどう対応するか、注目される。

「サハリン2」に出資する三井物産と三菱商事は「事実関係を確認中」としている。


日本のロシア産LNGの輸入量は657万トンで、うちサハリン2が600万トンとなっている。
日本が輸入するLNGのおよそ1割を占める。日本の電力会社とガス会社が長期契約で購入してい る。

松野官房長官は「まずは日本の関係企業とも連携しながら情報収集と分析に努めていきたい」と述べた。


付記

G7のエネルギー相は3月28日、オンラインで緊急会合を開き、ロシアが要求している同国通貨ルーブル建てでの天然ガス代金の支払いを拒否することで一致した。

会合後に記者会見したドイツのハーベック経済・気候保護相は、プーチン氏の要求は「一方的で、明確な契約違反だ」と強調。ロシアから天然ガスを輸入する企業に、ルーブルでの支払い指示に応じないよう呼び掛けた。


この報道を受け、ロシアルーブルは対ドルで一時1ドル=100ルーブルを超えて値上がりし、3月2日以来の高値を付けた。

また、欧州のガス価格は一時30%余り急騰した。


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ロシアの宇宙開発公社Roscosmosは3月23日、海外との取り引きは通貨ルーブル建てにすると 発表した。

ルーブルでの支払いを求める動きは全国で始まっていると指摘し、「われわれも海外との取り引きはすべてルーブル建てにする」と述べた。

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