Bain Capital が東芝の買収を検討

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米投資ファンドのBain Capital が東芝の買収を検討しており、株式の非公開化を前提にした提案の策定を進めている ことが判明した。

2021年4月7日に英投資ファンドのCVC Capital Partnersが2021年4月7日に東芝買収を提案したが、協議をしないまま、中断した。

2021/4/14 英投資ファンド、東芝に買収提案 

今回、東芝の筆頭株主旧村上ファンド出身者がシンガポールで設立したEffissimo Capital Managementは、Bain Capitalが東芝株を公開買い付け(TOB)した場合、保有株をすべて応募する方針であることが、Effissimoが3月31日に関東財務局へ提出した変更報告書で明らかになった。Effissimoは3月24日付で東芝株を9.90%保有している。

記載内容は下記の通り。

提出者は、Bain Capital Private Equity, LPに対し、2022年3月24日付確認書において、大要、以下のとおり確認している。

(1)関係当局の許認可が取得できる等の一定の前提条件の下で、Bain Capital又はその関係会社がその投資助言を行う投資ファンドが保有するエンティティが、発行者の普通株式を対象とする公開買付けを開始した場合、提出者の保有する発行者の普通株式の全てを応募させること

(2)本公開買付け又はその成立と競合、矛盾若しくは抵触し、又はそのおそれのある一切の行為を行わないこと

Effissimo がBainに対し上記の約束をしたということは、Bain の買収提案額を聞かされており、その額が同社にとって有利であると判断したからであろう。また、(2)については、それ以上の条件を出すところはないとの想定をしていると思われる。

そうであれば、早期の高値での売り抜けを狙う他の多くの投資家も賛成すると思われる。

Bainは「現時点で何ら決定した事実はない」とコメント。東芝の非公開化は解決すべき課題が多いとした上で、経営陣や日本政府、金融機関など利害関係者と慎重に対話を重ねる必要があるとした。

東芝の臨時株主総会でグループ全体を2分割する案が否決されたが、非公開化については改正外為法や各国の競争法など、実現には課題が多い。

原子力事業を持つ東芝は2020年に施行した改正外為法で重点審査の対象となっており、財務省と経済産業省が事前審査することになる。

東芝はWestinghouseからは撤退したが、東芝エネルギーシステムズに原子力事業部を持ち、原子力プラントの建設・メンテナンス・再稼動対応から福島第一原発の廃炉対応、廃止措置対応、燃料サイクル、 さらには次世代炉や高速炉などの未来に向けたエネルギー開発など、幅広い事業領域に積極的に取組んでいる。

東北電力の女川・東通、東電の福島・柏崎刈羽、中部電力の浜岡原発は主に東芝が担当している。

半導体や防衛関連の技術もあり、安全保障の観点から技術流出の恐れも懸念される。

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東芝は2017年9月28日、東芝メモリの株式譲渡契約を締結したと発表したが、売却先はBain Capitalがこの目的のために設立し、参加各社が出資する㈱ Pangeaで、譲渡価額は2兆円であった。

Bain Capital は2120億円を出資、うち議決権付き株式は1,361億円で49.9%を占める。(残りの40.2%は東芝、9.9%はHOYA)

今回、本体の東芝の買収を検討している。

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

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