OPECプラス、大幅増産を見送り 

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原油市場が高止まりするなか、産油国に対する増産要請が高まっているが、OPECプラスは3月31日の会合で 5月も大幅増産を見送った。

付記 OPECプラスは5月5日、6月も43.2万バレルの減産縮小にとどめた。

G7は3月24日の首脳声明でOPECに対し、一層の増産を求めたが、OPECプラスは会合後に出した声明で、現在の価格変動の大きさは「市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)が引き起こしたものではなく、地政学的な要因によるものだ」との考えを表明した。


OPECプラスは2021年
7月18日の閣僚協議で、協調減産を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小すると決めた。減産縮小は2021年7月の約580万バレルの減産が解消するまで続け、「22年9月末までに生産調整を終了するよう努める」とした。

今回もこの姿勢を崩していない。減産を少しだけ縮小するだけで、未だに減産しており、大幅増産による価格引き下げは全く考えていない。

5月については43.2万バレルの減産縮小を行なった。40万バレルでないのは、メンバー5カ国についてベースの基準生産量を変更したためである。

サウジとロシア:10.549 million bpd、UAE:3.04 million bpd、Kuwait:2.694 million bpd、Iraq:4.461 million bpd.


原油価格は年初は$76/bbl であったが、連日値上がりし、3月1日に$100を超え、3月7日には一時$130を超えた。現在も$100程度を維持している。

しかし、OPECプラスは増産を見送っている。

一つにはロシアがサウジと並んでOPECプラスの中心メンバーであり、OPECメンバーとしてはロシアとの協調関係を崩したくないためである。

記者会見で「OPECプラスからロシアを排除するべきではないか」との問いに、サウジのエネルギー相は「我々は政治を協議の部屋には持ち込まない」と答えた。

それよりも大きな理由は脱炭素の動きである。将来、石油離脱が起こるのは予定されており、需要が減れば価格が下がるのは当然のことである。そのため、産油国としては売れるうちに高値で売り、今のうちに財政再建、健全化を図ろうとしている。

当面はこの価格水準のままで推移すると思われる。

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バイデン米大統領は3月31日、高止まりしているガソリン価格の抑制を狙い、今後6カ月間にわたって戦略石油備蓄を1日当たり平均100万バレル追加で放出すると発表した。計1億8000万バレルに相当する。

米国以外の放出規模が「3000万~5000万バレルになるだろう」と述べた。


バイデン米政権は2021年11月23日、日本や中国、インド、韓国、英国と協調して、今後数カ月かけて戦略石油備蓄を5000万バレル放出すると発表した

日本政府はバイデン政権の要請を受けて石油の国家備蓄の一部を放出する方針を決めた。その量は420万バレル(67万kl)と報じられた。

日本の石油の備蓄放出としては、2011年6月にリビア情勢の悪化を受けて民間備蓄から出したのが最後で、国家備蓄からの放出は初めてとなる。

付記 過去の民間備蓄放出
    1979年 第二次オイルショック
    1991  湾岸戦争
    2005  米国ハリケーン
    2011  東日本震災、リビア情勢

2021/11/25 石油国家備蓄、各国が放出



国際エネルギー機関(IEA)は2022年3月1日、日米などの加盟国が備蓄している石油を計6000万バレル協調放出すると発表した。

米国は3000万バレルを放出、日本はこれに次ぐ750万バレルを放出する。民間の石油会社に義務づける備蓄量を国内需要の70日分から66日分に4日分引き下げた。


付記

IEAは4月6日、合計6000万バレルの石油備蓄を追加で放出することを決めた。期間は不明だが、半年間なら日量30万バレル台の供給となる
米国の計1億8000万バレルの独自放出も含めると総計2億4000万バレルになる。

日本は1/4の1500万バレルを追加で協調放出する。



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