英石油大手BPは5月3日発表の2022年1~3月期決算で、ロシアからの事業撤退に伴う損失として、244億ドルを計上した。 現金支出は伴わない。
BPは2月27日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、19.75%保有するロシア石油大手Rosneftの株式を売却すると発表した。同社と手掛けてきたロシア国内での合弁事業も全て解消し、同国から事実上撤退する。Bernard Looney CEOとBob Dudley前CEOはRosneftの取締役を即時辞任した。
BPによるRosneft への19.75%出資、取締役2名派遣の経緯については、2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収
ロシア事業撤退損失の内訳は以下の通り。
Rosneft株の売却は、ロシア政府が外国企業の事業撤退や、外国人の株式売却を制限しているため、全く目途が立っていない。このため、今回は持株の評価をゼロとした。
1)Rosneft持株の評価損 税引前240億ドル
2月27日時点でのRosneft持株の評価をゼロとした。 税引前減損損失 135億ドル
投資開始当初からの為替差損 税引前 111億ドル
本年度第1 四半期の2月27日撤退前までのRosneft税引前利益のBP 持分 約5億ドル(利益)
以上 差引合計 240億ドル
2)Rosneftとの他のJVの評価損 税引前15億ドル
3) Rosneft の未分配利益のBPの推定シェアに対するロシアの源泉徴収税の繰延税金負債の取消 11億ドル(利益)
以上 差引合計 244億ドル
これを含めた全社の損益(前期、前年同期対比)は下記の通り(百万ドル)。
売上高は493億ドルとなり、前年同期を43%(147億ドル)上回った。原油、天然ガスの価格上昇が影響した。
株主帰属損益は204億ドルの赤字で、前期比251億円の赤字増であるが、在庫評価益や特別損益を除いた損益(Replacement cost ベース損益)は62億ドルで、前年同期(26億ドル)の倍以上となった。
2022/1Q | 前期 2021/4Q |
前年同期 2021/1Q |
前年同期比 | |
売上高 | 49,258 | 50,554 | 34,544 | 14,714 |
株主帰属損益 | -20,384 | 2,326 | 4,667 | -25,051 |
うち在庫評価益 | 2,664 | 358 | 1,342 | 1,322 |
在庫評価益除外 | -23,048 | 1,968 | 3,325 | -26,373 |
うち評価損等特別損益 | -29,293 | -2,097 | 695 | -29,988 |
差引RCベース損益 | 6,245 | 4,065 | 2,630 | 3,615 |
Rosneft分RCベース損益 (除く 金利、税金) |
555 | 363 |
RCベースはReplacement cost ベース損益
会計ルールでは在庫評価益を含むが、石油会社の場合、この影響が大きいため、これを除いた参考損益を比較している。
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