韓国の現代自動車は5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場を新設すると発表した。
投資額は55億ドルで、2025年の稼働を目指す。生産能力は年産30万台規模で、車載電池工場も併設する。
鄭義宣会長は訪韓中のバイデン米大統領と5月22日に単独で会談したが、その後の記者会見で、上記に加え、ロボティクス、Urban Air Mobility (UAM:人や物を空を使って輸送する都市交通システム)、自動運転技術など未来新事業で米国と協力するため2025年までに50億ドルを追加投資すると明らかにした。今後3年で合計105億ドルを米国に投資する。
鄭会長は「米国で高品質の電気自動車を生産し、現代自動車グループが米国の自動車産業のリーダーとして跳躍できると自信を持っている。ロボティクスや自動運転などへの投資を通じても米国の顧客に高い便宜と安全を提供したい」と発言した。
バイデン大統領は会見で「ジョージア州の電気自動車工場を通じて8000人以上の雇用が生まれる。これは米国国民にとって、より多くの経済的恩恵を意味する」と述べた。
現代自動車グループは5月20日、ジョージア州政府と電気自動車・バッテリーセル工場など電気自動車生産拠点を構築する内容の投資協約を締結した。
ジョージア州Bryan Countyに来年着工し、2025年上半期から稼動する。生産量を次第に増やし2030年に年産30万台とする。
ジョージア州政府は税制優遇などインセンティブを提供し、持続的な諸般の支援を約束した。
電気自動車工場の近くにバッテリーセル工場も建設する予定で、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SKオン、LGエネルギーソリューション、サムスンSDIの韓国企業3社のうち1社が有力という。
SKイノベーションは2021年10月1日、電池事業を分社し、全額出資の「SKオン」(SK on)を設立した。EVの世界的な普及による需要急増に対応するため、電池事業を上場させて増産資金を確保する狙いがある。
SKは現在、米国や欧州、中国の3大市場で合計5つの新工場建設を進めている。足元で年間40ギガワット時の電池生産能力を2025年には200ギガワット時まで拡大する。
なお、同じ10月1日にSKイノベーションから石油開発事業の「SKアースオン」(SK earthon) が分社した。
現代自動車グループが米国に生産工場を作るのはヒョンデ(現代自動車)のアラバマ工場、起亜のジョージア工場に続き14年ぶり。既存の工場はエンジン車だけ生産してきた。
現代自グループの2021年の世界小売販売台数710万台のうち北米地域は23%を占める。
同グループは起亜と合わせて2030年にEVの世界販売目標を323万台に設定、2021年実績の約25万台から13倍に引き上げる方針で、韓国や米国、欧州の既存工場でのEV増産を進める。このうち米国では2030年まで84万台の販売が目標。
5月18日には、21兆ウォン(165億4千万ドル)を投資し、韓国でのEV生産台数を今年の35万台から2030年には144万台へと4倍以上増やすと発表している。
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