米FDA、Johnson & Johnsonの新型コロナウイルスワクチンに使用制限

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米食品医薬品局(FDA)は5月5日、Johnson & Johnson (J&J) の新型コロナウイルスワクチン(Janssen COVID-19 Vaccine)について、接種により血小板の減少を伴う血栓症(TTS:Thrombosis with Thrombocytopenia Syndrome)が生じるリスクを踏まえて使用制限を決めた 。

今後は、使用が認められている18歳以上の成人の うち、次の場合にのみ使用が可能となる。(これらの場合は、資料のメリットがリスクを上回ると判断した。)
・他のワクチンが入手できない場合(other authorized or approved COVID-19 vaccines are not accessible or clinically appropriate)、
・ワクチンを接種する個人が他社製ワクチンの使用に消極的な場合(who elect to receive the Janssen COVID-19 Vaccine because they would otherwise not receive a COVID-19 vaccine)

これまでの経緯:

FDAの諮問委員会は、接種が1回で済む初の新型コロナウイルス・ワクチンの使用に対し全会一致で賛成し、2021年2月16日に緊急使用を承認した。

接種1回のワクチンで、通常の冷蔵庫より低い温度に保つ必要がないので保管が簡単という利点も有している。3大陸で実施された治験では、軽度および重篤な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症を防ぐ効果が66%確認された。

米国のFDAと疾病予防管理センター(CDC)は2021年4月13日、J&J製の新型コロナウイルスワクチンの使用を一時停止することを勧告する共同声明を発表した。

J&J製ワクチンの接種後に、まれだが、深刻な血栓が生じたケースが6件発生しており、CDCとFDAが症例についてそれぞれ調査を行う。
6件のケースは18~48歳の女性で確認され、症状はワクチン接種後6~13日以内に発生した。

FDAとCDCは2021年4月23日、J&J製の新型コロナウイルスワクチンの使用一時停止勧告を解除する共同声明を発表した。

FDAとCDCは使用停止勧告の期間中に、ワクチン接種に伴い血栓症が生じるリスクを分析し、以下を結論付けた。
(1)米国内でJ&J製ワクチンの使用を再開すべきであること、
(2)FDAとCDCはJ&J製ワクチンの安全性と有効性を信頼していること、
(3)FDAはデータを基に、同ワクチンの利点は、リスクに勝ると判断したこと、
(4)これまでに入手したデータによると、血小板減少を伴う血栓症に至る可能性は極めて低いが、FDAとCDCは引き続き慎重にリスクを調査すること

また、FDAとCDCは声明の中で、血栓症が生じたケースが合計15件確認されていることを明らかにした。これには、使用停止勧告時に発表した6件も含まれている。
15件とも、18~59歳の女性で発生した。

CDCは、血栓症が起きたほぼ全てのケースが50歳未満の女性とした上で、50歳未満の女性に対し、副反応のリスクと、同リスクが確認されていない他社製のワクチンも選択肢としてあることを認識すべきだとしている。

CDCの予防接種実施に関する諮問委員会は2021年12月16日、成人の新型コロナウイルスワクチン接種について、J&J製ワクチンよりも、PfizerやModernaのワクチンを推奨する方針を示した。

ごくまれに深刻な血栓が生じる確率が、従来の想定を上回っていたと明らかにした。

J&Jのワクチンを接種した後に血栓が生じ、血小板も減少したケースについて 諮問委員会に報告。これを受けて諮問委員会の委員15人は、今回の推奨を全会一致で支持した。

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グループ企業を通じて厚生労働省に承認の申請を行った

接種が1回で済むのが特徴で、対象は成人以上としている。

現時点ではまだ承認されていない。

日本でのワクチン承認状況は下記の通り。

      接種対象 1回の接種量 接種
Pfizer 1~2回目 2021/2/14 16歳以上 30マイクログラム 3週間間隔、2回 
2021/5/31  12歳以上
2022/1/21
5~11歳 1/3(10マイクログラム)
3回目 2021/11/11 18歳以上 30マイクログラム 2回目から6カ月以上経過

 

      接種対象 1回の接種量 接種
Moderna 1~2回目 2021/5/21 18歳以上 100マイクログラム 4週間間隔、2回
未承認* 12歳以上    
3回目 2021/12/16 18歳以上 半量(50マイクログラム) 2回目から6か月以上経過

  * 米FDAは、まれな炎症性心疾患のリスクを高める可能性を評価するために若年層での承認判断を先送りしている。

      接種対象 1回の接種量 接種
AstraZeneca 1~2回目 2021/5/21  18歳以上   4~8週間の間隔、2回

 

      接種対象 1回の接種量 接種
Novavax 1~2回目 2022/4/19 18歳以上 0.5ml 3週間の間隔、2回


2022/4/19 厚労省、ノババックス製ワクチン承認へ (武田薬品工業が申請)

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