国際通貨基金(IMF)は5月11日、5年に1度の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットの構成比率見直しを行い、人民元の比率を10.92%から12.28%まで引き上げた。
人民元が2016年にSDR構成通貨に正式採用されて以来、初の見直しとなった。
新たなSDRの通貨バスケット構成は今年8月1日から正式に適用される。次回の見直しは2027年に行われる。
構成比率の推移は下記の通り。2000年比でみると、日本円の比率が大きく減少しているのが目立つ。
特別引出権(SDR)は、加盟国の準備資産を補完する手段として、国際通貨基金(IMF)が1969年に創設した国際準備資産。
現在までに6,607億SDR(約9,430億ドルに相当)が配分されている。
このうち、4,565億SDRが2021年8月2日に承認された史上最大の配分によるもので、この最も新しい配分は準備資産の長期的かつ世界的なニーズに対処することを目的としており、コロナ禍の影響に各国が対応できるよう支援することが狙い。
ーーー
SDRの価値は当初、純金0.888671グラム (当時の1米ドルと等価値)に相当すると決められていたが、1973年のブレトンウッズ体制の崩壊に伴い、SDRは通貨バスケットとして再定義された。
主要16カ国通貨の加重平均による価値に結びつけるとする「通貨バスケット方式」を1974年7月1日から採用することを決定 した。
1981年に計算の簡便化を図った。
ある通貨がSDRバスケットの構成通貨として採用されるためには、「輸出基準」と「自由利用可能基準」という2種類の条件を満たす必要があ るとした。
「輸出基準」:発行する国または通貨同盟の輸出額が世界で5本の指に入る こと。
「自由利用可能」:国際取引の支払いで広く使われており、主要な為替市場で広く売買されている。
1981年に「5 年間の財・サ-ビス輸出量が上位 5 位以内の加盟国通貨」(ドル、マルク、円、仏フラン、英ポンドの 5 通貨)の加重平均方式に変更、その後、ユ-ロ導入で2001年に4 通貨(ドル、ユーロ、円、英ポンド)の加重平均になった。
通貨バスケットは、世界の貿易制度と金融制度における通貨の相対的な重要性を反映するために、5年ごとに見直しが行われ る。
2015年11月に終了した前回の見直しでは、中国人民元がSDRバスケット入りの条件を満たしたとの決定がIMF理事会によって下され、2016年10月1日から実際に中国人民元がSDRバスケットを構成することになり、中国国債の3か月物のベンチマーク利回りがSDR金利バスケットに組み入れられることになった。
2021年3月、IMF理事会はSDR価値バスケットの見直しを2022年7月31日まで延期することを決定し、5年周期で行っているSDR価値見直しの流れを実質的に変更した。今回の見直しで2022年8月1日に新たなバスケットが発効する。
コメントする