JXミャンマー石油開発、ミャンマーの天然ガス開発事業から撤退

| コメント(0)

日本政府やENEOS子会社のJX石油開発、三菱商事が出資するJXミャンマー石油開発は5月2日、ミャンマーのYetagun ガス田事業から撤退すると発表した。

JXミャンマー石油開発は1991年12月設立で、日本政府が50%、JX石油開発が40%、三菱商事が10%出資している。

ミャンマーの天然資源開発を巡っては、産出量に応じて収益を得るミャンマー石油ガス公社(MOGE) が人権弾圧を行っている国軍の資金源になっているとして批判を集めており、欧米メジャーが相次ぎ撤退を発表していた。

ミャンマー軍によるクーデターのあとの情勢などを踏まえ、事業の継続は難しいと判断した。
同国における社会課題への対応を含めた現下の情勢およびガス田の評価に基づく事業性などを検討・協議した結果としている。

ミャンマーのYetagun ガス田事業のパートナーのマレーシアのPetronas Carigali とタイのPTTEP Internationalも4月29日、撤退を発表した。

後記の通り、PTTEPは同じミャンマー沖のYadana海底ガス田から撤退するTotalに代わり、Operatorを引き受けており、ミャンマー軍のクーデターに関係した撤退ではなく、エネルギー確保の上でのportfolio management の一環としている。

Petronasも、決定はPetronasの資産合理化戦略の関連でのtechno-commercial review に基づいてなされたとしており、ミャンマーの軍事政権批判によるものではない模様。

この事業で残るのはミャンマー石油ガス公社(MOGE)のみとなる。

Yetagunガス田はミャンマー沖合のM-12、13、14鉱区で、下記のパートナーで事業を行っている。

権益比率
JXミャンマー石油開発 19.3%
Petronas Carigali マレーシア 40.9%  operator
MOGE ミャンマー石油ガス公社 20.5%
PTTEP International タイ 19.3%


日本石油が1991年にM-13、14鉱区、1992年にM-12鉱区の権益を取得した。
1991年12月にJXミャンマー石油開発を設立、探鉱段階から参画し、1992年末に同鉱区でガス田を発見、埋蔵量の評価作業や、生産・出荷設備の建設(パイプラインを含む)を経て、2000年から生産段階に移行し、天然ガス・コンデンセートの生産・販売を行なっている。

天然ガスは、パイプラインを使ってタイ石油公社PTTに販売している。天然ガスの生産に随伴して生産されるコンデンセートは、いったんFSO(Floating Storage and Offloading system)に集積し、権益保有各社により共同で販売している。

ーーー

ミャンマーの海底ガス田はYetagunのほかに3つある。

ミャンマー最大の天然ガス田であるYadanaガス田の出資者で操業を担当するTotal は2022年1月に撤退を発表した。

2021年2月に国軍のクーデターが起きた後、国軍側の収入源とならないよう、現地の天然ガスパイプライン事業で配当金支払いを止める対応をとってきたが、人権問題で状況の改善が見込めず継続は困難と判断したとしている。

Chevronも撤退を発表した。

タイ政府系の資源開発会社PTTEPは3月14日、Yadana海底ガス田について、撤退を決めた仏Totalからオペレーターの役割を引き継ぐと発表した。Totalの権益の一部も引き取る。

PTTEPは声明で、Yadanaはミャンマーとタイの人々の生活に欠かせない天然ガス供給源で、長期にわたるエネルギー安全保障を強化するために、後継事業者となることを検討してきたと述べている。

PTTEPは今回、Yetagunからは撤退を表明した。

コメントする

月別 アーカイブ