Pfizer、片頭痛治療薬販売の米Biohaven Pharmaceutical を買収

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Pfizerは5月10日、成人の急性片頭痛の治療及び一時的片頭痛の予防薬 NURTEC® ODTの開発会社である米Biohaven Pharmaceutical を現金116億ドルで買収すると発表した。PfizerはBiohavenの借入金や優先株も引き受ける。買収は手元の現金で行う。

1株あたり148.5ドルの買収で、Biohaven 株価の 過去3か月の加重平均111.70ドルに33%のプレミアムが上乗せされている。Pfizerは2021年11月にBiohaven株 2.6%を1株173ドル、合計350百万ドルで購入しており、残り全株を買収する。

その後の金利とインフレ率の上昇を受けて、投資家はリスクの高い成長株から資金を引き揚げて おり、Biohavenの株価も1月以降、40%下落していた。

Pfizerを含む現在のBiohaven株主は別途、Biohavenの開発段階の非CGRP製品を残す新会社New Biohaven社の株を、Biohaven株1株当たり 0.5株を受け取る。


片頭痛は一定の性質を満たす頭痛発作が繰り返す慢性
疾患だが、確固とした神経疾患である。

病態生理の解明が進んだ結果,カルシトニン遺伝子関連ペプチドcalcitonin gene-related peptide; CGRP)を標的にした特異的治療が行われるようになった。

Biohavenの製品もCGRP製品である。

Biohaven Pharmaceutical はPfizerによる買収後もBiohavenの社名で子会社として存続するが、同社の製品のうち、下記のCGRP関連のみを残し、それ以外の製品を新会社New Biohavenに移すもの。

  • 一般名 rimegepant:
    • 米国で承認、製品名 NURTEC® ODT、急性片頭痛の治療、一時的片頭痛の予防薬
    • EUで承認、製品名 VYDURA® 、急性片頭痛の治療、一時的片頭痛の予防薬
  • 一般名 zavegepant:
    • 急性期片頭痛の治療用鼻腔内スプレイ(米国で申請済み)、慢性片頭痛予防用の口腔ソフトゲル(開発中)
  • 臨床研究前段階の5つの CGRP 製品

なお、Pfizerは2021年11月にBiohaven株2.6%を購入しているが、この時点でBiohaven 社のrimegepant とzavegepant の米国外での商業化の協力の契約を結んでいる。

Pfizerはこれらの年間売上高総額がピーク時に60億ドルを超える可能性があると見込んでいる。
NURTEC® ODTは昨年463百万ドルの売上高を記録、Biohavenでは、今年の売上高が825ー900百万ドルを見込んでいる。

CGRP受容体拮抗薬で現在最も売上高が大きいのは、Eli Lilly(製品名Emgality、第一三共と提携)とAmgen(製品名 Aimovig) が販売する注射タイプの薬で、経口薬としてはAbbvie(製品名Qulipta) が販売し、NURTEC® ODTと競争を繰り広げている。

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Pfizerは5月3日に2022年1~3月期決算を発表したが、新型コロナウイルスワクチンの売り上げが伸びたことなどから、大幅な増収増益である。

(単位:百万ドル)

2022/1-3 2021/1-3 増減
売上高 Pfizer Biopharma ワクチン 14,941 4,894 10,047
Hospital 3,191 1,886 1,305
抗がん 2,967 2,862 105
内科 2,440 2,594 -154
その他 1,784 1,889 -105
合計 25,323 14,125 11,198
Pfizer CenterOne (CDMO) 338 391 -53
合計 25,661 14,516 11,145
税引前損益 9,050 5,692 3,358
株主帰属損益 7,864 4,877 2,987

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