ウクライナの天然ガスパイプライン会社は5月11日、ロシアが占領している Sokhravovka経由の天然ガス輸送を停止すると述べた。
占領軍(ロシア)による妨害を理由にし、「不可抗力」としている。
ロシアがこのパイプラインで天然ガスを抜き取り、東部の占領地帯に送っているとし、占領軍による妨害で、途中のNovopskovのガスコンプレッサー ステーションでの作業ができないとしている。
このパイプラインはロシアから西欧向けの天然ガスの1/3の日量 32.6 百万m3 を扱っている。2月の戦争開始後もウクライナ経由の西欧向け天然ガスはウクライナ経由で送られているが、一部の輸送停止は初めての事態となる。欧州への供給がさらに不安定化する恐れもある。
なお、このパイプライン経由のガスは西欧向けで、ウクライナの需要には関係ないとされる。
ウクライナ側は、ロシアはSudzha経由のパイプライン(ロシアの非占領地帯)に切り替えればよいとしている。
しかし、Gazpromの報道官は、「不可抗力との根拠は示されていない」として疑問視し、別ルートへの全量振り向けは技術的に不可能だと表明。ガスプロムは全ての契約義務を履行していると強調した。
現在の情報ではよく分からないが、ロシアから西欧への天然ガスを、ウクライナ側がロシア占領地域を通るパイプラインを止め、ロシアの非占領地域を通るパイプラインに変えさせようとしている模様。
しかし、全体の1/3の量をもう一本のパイプラインに追加で送ることは無理と思われる。
ウクライナはロシアに対する嫌がらせで止めたと思われるが、天然ガスが送れないと困るのは西欧側である。
西欧側は既に完成したNord Stream 2の稼働を認めていないが、ウクライナ経由で送れない場合、最終的に認めざるを得なくなる可能性もある。
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