Shell、第1四半期決算でロシア損失5500億円計上、純利益は前年同月比26%増

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Shellは5月5日発表した第1・四半期決算で、ロシアからの事業撤退に伴う費用として42億3500万ドルを計上した。しかし、石油・ガス価格の上昇を追い風に本業は好調で、株主帰属利益は71億1600万ドルと前年同期比で26%増えた。

Shellはロシアのウクライナ侵攻を受けて2月にロシア国営ガスプロムとの合弁事業の終了を決め、3月には資源調達や現地での小売りを含めてロシア関連の事業を全面的に手じまう方針も表明した。

第1四半期に計上したロシア事業撤退損失は次の通りで、サハリン2、Nord Stream 2向けの融資、Salym油田、Gydanガス田、Shell Neftのほか、長期引取権、技術等使用権などを含む。

百万ドル
Sakhalin-2 1,614 Shell 27.5%、Gazprom 50%、Mitsui 12.5%、Mitsubishi 10%
Nord Stream 2 loan 1,126 融資・保証する5社の1つ(他は、E.ON、BASF、OMV、ENGIE)
Salym Petroleum Development 233 Gazprom Neft との50/50JV 西シベリアSalym油田開発
Gydan Energy 153+35 GazpromNeft との50/50JV 北西シベリアGydan半島のガス田開発
Marketing 358 + 236 Shell NEFT : ロシアに411のStation、潤滑油ブレンド工場
長期引取権 335
技術使用権 114
その他 31
合計 4,235 (税引後で3,894百万ドル)


付記 Shellは5月12日、MarketingのShell Neft をLUKOILに売却する契約を締結したと発表した。


シェルはロシアからのスポット(随時契約)での資源調達を3月に中止、長期契約は更新せず、原油について2022年末までに大半が終了する。天然ガスについては各国政府と調整しながら調達削減を進める。

ロシア撤退で4,235百万ドルを引き当てたが、原油や天然ガスなど資源の値上がりで収益力は大きく高まった。

売上高は842億400万ドルと前年同期比で51%増えた。探査や採掘などの上流部門では生産量が15%減ったが、売価の上昇で部門利益は3倍強に膨らんだ。

在庫評価や減損の影響を除く調整後純利益は前年同期比で2.8倍の91億3千万ドルと、四半期ベースで過去最高になった。


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