Lanxess、Advent International とエンプラJVを設立、DSMのエンプラ事業買収、自社エンプラ事業も拠出

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Lanxess と米国のプライベート・エクイティ会社で、化学業界における経験が最も豊富な世界でも有数の金融投資会社のAdvent Internationalは5月31日、高機能エンジニアリング樹脂のJVの設立を発表した。

両社はRoyal DSMからDSM Engineering Materials businessを買収する契約を締結した。JVの事業を構成することになる。

DSMのEngineering Materials businessはポリアミド(PA6, PA66) や特殊品(PA46, PA410, PPSなど) を扱っている。欧州、米国のほか、アジアでも強い。

買収価額は37億ユーロで、AdventのJV出資金と外部借入金で賄う。
年間売上高は15億ユーロ。

更に、Lanxessは自社のHigh Performance Materials 事業(ポリアミド、PBT、繊維強化プラスチック構造材Tepexなど)をJVに拠出する。この年間売上高は 15億ユーロ。

新JVはAdventが現金出資、Lanxessが事業を拠出するが、Adventは最低60%の出資となる。Lanxessは事業拠出で最低11億ユーロの現金とJVの株式40%弱を受け取る。

Lanxessはこの11億ユーロを借入金返済と自社株買い入れに使う。

なお、Lanxessは早くて3年後にJV持分全てをAdventに売却する可能性がある。


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LANXESSは2004年7月にBayerから分離独立した。

2006/9/6 Bayer と Lanxess

現在の事業は次のとおり。

1) Advanced Intermediates:中間体、無機顔料
2) Specialty Additives:添加剤子会社Rhein Chemie、樹脂添加剤、潤滑油添加剤
3)  Consumer Protection:香料、物質保護剤、液体処理、受託製造子会社Saltigo
4) Engineering Materials:High Performance Materials(今回拠出)、Urethane Systems


同社の以前の中核事業の一つであった合成ゴム事業は
Saudi Aramcoとの50/50JVのARLANXEOとしたが、その後、Aramco 100%とした。

2019/1/1 Saudi Aramcoと LANXESS のJV のARLANXEO、Aramco 100%に

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DSM2007年に新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。下図の緑色の部門を売却し、Life Sciences Materials Sciences へのシフトを進めるとした。

DSMは2021年9月に「Health, Nutrition & Bioscience companyになる」と宣言、エンジニアリングプラスチック等のMaterials 部門については売却を含めて、どうするか検討すると述べた。

2020年にResins & Functional Materials事業Covestroに売却している。

Materials部門で残るのは、ポリアミドと超高分子ポリエチレン繊維「ダイニーマ」などで、これらの売却を決めた。

ポリアミドについては売却先候補に宇部興産が挙がっていた。

2022/2/3 DSMの変身

今回、ポリアミド等についてLanxess /Advent International への売却をきめたが、残る「ダイニーマ」についても売却した。

特殊材料大手メーカーAvient Corporationは4月10日、Royal DSMとの間でDSM Protective Materialsを買収することで合意、契約を締結したと発表した。超高分子量ポリエチレンDyneema事業が含まれる。
買収金額は約14.85億ドル。

Avient Corporationは、オハイオ州に本社を置く特殊ポリマー材料のグローバルメーカーで、熱可塑性コンパウンド、プラスチック着色剤・添加剤、熱可塑性樹脂およびビニル樹脂が含まれる。

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