2020年に売却を発表していたが、売却先は明らかにしていなかった。
売却した事業には、下記のSoronaと、Susterra(100% 植物ベースの高機能グリコール)、Zemea(植物ベースで生分解性プロパンジオール)などの製品が含まれる。
Sorona(Tate & Lyle とのSorona propanediol JV):
DuPontと英国のTate & Lyle の折半出資による合弁会社、DuPont Tate & Lyle Bio Products, LLC, は2007年6月8日、テネシー州のLoudon 工場でBio-PDOの商業生産を祝う式典を行った。
同工場は世界で初めて再生可能原料(トウモロコシの糖分:corn sugar) から1,3-propanediol (商品名Bio-PDO)をつくる工場で、年産能力45千トン、建設費は1億ドル。
2007/6/13 DuPont、Bio-PDOの商業生産開始
Huafon Group (華峰集團)は浙江省瑞安市を本拠とする企業で、下記の製品を扱っている。
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DowDuPont Inc.は2019年6月1日、農業部門をCorteva, Inc.として分離し、社名をDuPont de Nemours, Inc. に改称した。Specialty Productsの会社となる。DowDuPont Inc.は4月1日にMaterial Science事業をDowとして分離している。
これにより、2017年9月1日にDowとDuPontが合併してできたDowDupontの再編成が完成した。
2019/6/12 DowDupont 分離完了
新生DuPontは引き継いだ事業を整理し、下記3つの事業を中心とすることとし、他の事業は売却することとした。
① electronics and industrial
② mobility and materials
③ water and protection
まず、Nutrition & Bioscienceを売却した。
香料メーカーのInternational Flavors & Fragrances(IFF)は2019年12月、DuPont傘下で食品添加物・原料の製造を手掛けるNutrition & Bioscienceを262億ドルで買収する合意に達した。買収合戦でアイルランドのKerry Group plcに勝利した。
買収に伴い、IFFとNutrition & Bioscienceを統合した新会社International Flavors & Fragrances(IFF)が設立された。DuPont株主が55%、IFF株主が45%となる。
DuPontは完了時に73億ドルの現金を受け取った。
下記については売却先を見つけた。
①DuPont Clean Technologies(alkylation, sulfuric acid regeneration and other emission control technologies)
2021年2月3日、BroadPeak Global, Asia Green Fund, The Saudi Arabian Industrial Investments Company (Dussur) のコンソーシアムに510百万ドルで売却することで合意した。
②Hemlock Semiconductor (40%持分)
当初 Dow Corning Corporation(68.25%)、信越半導体(19.50%)、三菱マテルアル(12.25%) のJVで、その後、三菱マテリアルが撤退した。2016年にDowとCorningがDow Corning JVを解消、Hemlockの株主はDuPont とCorningと信越半導体になった。
今回、DuPontが株式を他株主に725百万ドルで売却した。現在はCorning Inc. 80.5%, 信越半導体19.5%。
③Biomaterials unit(Tate & Lyle との Sorona propanediol JVを含む)を不開示の相手に240 百万ドルで売却した。
今回、これがHuafon Group (華峰集團)への売却と判明 した。
なお、 当初売却を予定した次の事業は保持することとした。いずれもMobility and Materials divisionに属する。
①Tedlar PVF film
②microcircuit materials
③DuPont Teijin Films持分 但し、下記のとおり、2022年に売却を決定
帝人とDuPontは2000年よりポリエステルフィルム事業を統合し、世界7カ国で合弁会社を設立してグルーバルに事業を運営してきた。
日本とインドネシアの合弁については2016年8月に帝人100%とすることを決めた。
2017年10月10日、残る米国、英国、ルクセンブルグ、中国のJVをIndorama Netherlands B.V.に売却することを決定したと発表した。しかし、発表はなかったが、この売却計画は頓挫した。
2020/2/1 デュポンと帝人、フィルム合弁を再び売却へ
上記の通り、DuPontは3つの部門、①electronics and industrial, ②mobility and materials, ③ water and protectionで構成されることとなったが、DuPontは2021年11月2日に「戦略的レビュープロセス」を発表した。
1)Rogers Corporation 買収
DuPontはエンジニアリング素材メーカーの米Rogers Corporation を約52億ドルで買収することで合意した。
Rogersは電気自動車(EV)や高速通信規格「5G」関連機器向けの高周波用プリント基板材料など、高機能・高付加価値の先端電子部材に特化し、北米、欧州、アジアに計14カ所の生産拠点を持つ。2021年通期の売上高見通しは約9億5000万ドル。
DuPontはEV向け部材など高付加価値製品を成長分野と見なし、事業シフトを進めている。
2) Mobility & Materials segmentの大半の事業の売却
売却の対象となる事業は、主にエンジニアリングポリマーおよびパフォーマンスレジンの事業分野の事業と、デュポン帝人フィルムの合弁事業の持分。
対象製品ラインには、Zytel®、Delrin®、Hytrel®、Crastin®、Vamac®、TEDLAR®などブランドが含まれるが、これらに限定されない。
対象事業の2021年通年見積もりの売上高は約42億ドル、営業EBITDAは約10億ドルになる。
3) これらにより、electronics, water, protection, industrial technologies and next generation automotiveに焦点を当てた高成長、高収益市場での位置を高め、収益向上を図る。
DuPontは2022年2月18日、Celanese Corporationとの間でMobility & Materials segment の大半を売却する契約を締結したと発表した。
売却対象は、Engineering Polymers 事業と、Performance Resins and Advanced Solutions business lines のなかの特定の製品ラインで、売却額は現金で110億ドルとしている。取引は2022年末頃に完了する予定。
これらの事業の2021年の売上高は約35億ドルで、EBITDA(税引前利益+支払利息、減価償却費)は8億ドルであった。
Mobility & Materials segmentのなかの Auto Adhesives, Multibase and Tedlar® product lines は対象に含まれていない。
DuPont は別途、某社とアセタールホモポリマーのDelrin® businesss の売却を進めている。
Mobility & Materials segment の製品で売却対象と対象外は下図のとおり。
今回の発表文にはないが、DuPont Teijin Films JV も売却対象に挙がっている。
2022/2/22 DuPont、Mobility & Materials Segment の大半をCelaneseに売却
これらが完了すると、DuPontの事業は、①electronics and industrial, ② water and protectionと、次世代自動車関連等となる。
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