欧州連合(EU)は6月23日開いた首脳会議で、ウクライナとモルドバに加盟候補国の地位を付与することを承認した。全27加盟国が同意し、認定に必要な全会一致で決まった。
EU加盟に向けて具体的な交渉に入ることになる。
2月24日のロシアの侵攻を受けたウクライナおよび、同国周辺のジョージアとモルドバが3月3日、相次いでEUへの加盟を申請する文書に署名した。
欧州委員会は6月17日、ウクライナのEU加盟に関する意見書を発表し、ウクライナに対する加盟候補国の認定をEU理事会(閣僚理事会)に勧告した。
欧州委はまた、ウクライナと同様に、3月にEU加盟申請を行ったモルドバとジョージアに関する意見書を発表した。
モルドバに対しては、加盟候補国の地位付与を勧告、
ジョージアに対しては、加盟の方向性を認めるものの、今後取り組むべき優先事項が実施されるまでは、加盟候補国の認定を保留すべきとした。
今回、ウクライナとモルドバが正式に加盟候補国となった。ジョージアについては、欧州委が提示した条件を満たせば候補国にする方針を示した。
ウクライナとモルドバ両国は加盟実現に向けた長い手続きの「第一歩」を踏み出したことになる。司法・行政・経済など分野ごとの加盟交渉に向けて動き出すが、国内法の改正などが必要で、実際に加盟するまでには通常10年程度かかる。
ウクライナの場合、腐敗が問題で、オリガルヒ(政商)が政財界の癒着を広げ、賄賂の横行や政治家による司法への圧力が問題。
国営企業の民営化、独占企業の解体などの市場改革も必要。
ウクライナの一人当たりGDPはEU平均の1/10以下で、今回の戦争の影響も大きい。加入の場合、EU予算の圧迫も懸念される。
2022年3月現在、アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコの5カ国が加盟候補国で、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボの2カ国が潜在的加盟候補国となっている。
ブルガリアやルーマニア(2007年1月)、クロアチア(2013年7月)といった直近の加盟国は、一連の手続きに10~12年を費やした。
アルバニアと北マケドニア、モンテネグロ、セルビアは正式な加盟候補国となって数年がたっているが、手続きは滞っている。トルコも1999年に加盟候補国となったものの、人権侵害への懸念があることから、加盟交渉は中断したままである。
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