LG Chemは5月31日、バッテリー素材分野の競争力を強化するため、中国の浙江華友コバルト(浙江華友鈷業)の正極材子会社Tianjin B&M Science and Technology (天津巴莫科技 : B&M) との合弁法人を韓国国内に設立すると明らかにした。
華友コバルトはグローバルトップクラスの原材料メーカーで、コバルト精錬市場では世界1位。ニッケルやマンガン市場などでも上位圏を占めている。
LG Chemは2018年に華友コバルトとの合弁で中国で前駆体(コバルトやニッケル、マンガンなどの結合体)と正極材(リチウムと前駆体を結合したバッテリー素材)の生産工場を設立している。
LG Chem は2018年4月、リチウムイオン電池用のコバルトの供給を確保するため、浙江華友コバルトと2つのJVを設立することで合意したと発表した。
LGは225百万ドルを投じて2020年までに中国にプレカーサーと正極(カソード)のJVを設立し、年間4万トンを生産する。
両社の合弁会社 楽友新能源材料(無錫)は2020年9月10日、江蘇省無錫市で新エネルギー車向けバッテリーの正極材工場の竣工式典を行った。年間4万トンを生産、製造したプレカーサーと正極は、中国とポーランドのリチウムイオン電池工場で使用する。
2018/4/17 LG Chem、中国の浙江華友コバルトとリチウムイオン電池材料のJVを設立
今回の合弁会社は、昨年末に政府の共生型地域雇用で発足したLG Chemの子会社 亀尾(クミ)陽極材法人に、華友コバルトの子会社であるB&Mが投資する方法で設立される。LG ChemとB&Mの持分は、それぞれ51%と49%。
2025年までに約5000億ウォン(約480億円)を投資し、次世代電気自動車バッテリー用NCMA(ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム)正極材専用生産ラインを構築、2024年下半期から、電気自動車(EV)50万台分に相当する年間約6万トン以上の規模で量産を開始する予定。
共生型地域雇用とは、地方の雇用を創出するための事業で、企業が従来より低い賃金を支払い、政府と地方自治体は福利厚生費を支給することで賃金を補うもの。
LG Chemは韓国内に2カ所、中国に1カ所の正極材の工場を稼働させており、新工場は4カ所目となる。現在の生産能力は8万トン。新工場の建設と既存工場の追加投資で、2025年には生産能力を17万トンに引き上げる。
LG化学は電池部材のうち、正極材と分離膜、接着剤を自前で手掛け、電池子会社のLGエネルギーソリューションに供給している。 バッテリーセパレータフィルムは東レと組むことで、調達量の確保を急いでいる。
東レは2021年10月、LG Chemとの間で、東レ100%子会社のハンガリーのリチウムイオン二次電池(LIB)用バッテリーセパレータフィルム製造・販売会社「Toray Industries Hungary Kft.」に対してLG Chemが新たに375百万ドルを出資し、持分比率50:50の合弁会社「LG Toray Hungary Battery Separator Kft.」を設立することに合意したと発表した。
合弁会社はToray Industries Hungaryの現有設備で車載用LIB向けバッテリーセパレータフィルムを製造し、LGグループの欧米拠点向けに販売することを目的としている。また、今後の需要拡大に備え、敷地内においてフィルム基材の製膜設備の増強と、コーティング加工設備の新規導入を進めていくことに加え、合弁会社設立から2年半経過後に東レ持分の20%をLG Chemに有償譲渡し、以降はLG Chemが経営・事業の主体を担うことにも合意した。
車載向けLIB用バッテリーセパレータフィルムにおいて、LG Chemはコーティング技術、東レはフィルム基材の製膜技術に強みを持つ。合弁会社では、LG Chem、東レからそれぞれが保有する技術をライセンス供与し、両社の強みを生かしてシナジーを発揮する。
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