中国の宇宙ステーション「天宮」 年末までに完成へ

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中国は65日、有人宇宙船「神舟14号」の打ち上げに成功, 宇宙ステーション「天宮」のコアモジュール「天和」とドッキングし、男性2人、女性1人の宇宙飛行士が天和へ入室した。

「天宮」はメインキャビンの「天和」と実験施設「問天」「夢天」から成り、前後に有人宇宙船と無人貨物宇宙船をドッキングさせて、宇宙飛行士と貨物の補充・回収を行なう。

2021年4月に先ずコアモデュール「天和」を打ち上げ、5月に無人貨物宇宙船「天舟2号」を天和の後部にドッキングさせた。6月には有人宇宙船「神舟12号」を天和の前部にドッキングさせた。
「天舟」「神舟」は回収、再打ち上げを2回行った。

今後、7月に実験施設「問天」、10月に 同「夢天」をそれぞれ打ち上げ、神舟14号の宇宙飛行士3人が「天和」の左右に連結させ、各種設備の据え付けや試運転を行ない、年末までに宇宙ステーション「天宮」を完成させる。

付記

中国は7月24日、宇宙実験施設「問天」を搭載したロケットの打ち上げに成功した。

付記

最後のモジュール「夢天」が10月31日、海南省の文昌発射場から大型ロケット「長征5号B」で打ち上げられた。

付記

有人宇宙船「神舟15号」は11月30日午前、宇宙ステーション「天宮」にドッキングし、宇宙飛行士3人が天宮に乗り込んだ。近く宇宙ステーションの運用を始める。

11月には宇宙飛行士3人を乗せた神舟15号が打ち上げられ、宇宙ステーション内で14号と15号の6人の宇宙飛行士が5-10日間、共同作業を行う。

2024年には宇宙望遠鏡「巡天」を打ち上げ、連結させる。


打ち上げ
Module  天和 2021/4
貨物宇宙船 天舟2号 2021/5 →天舟3号(2021/9)→天舟4号(2022/5)→天舟5号(2022/10)
有人宇宙船 神舟12号 2021/6 →神舟13号(2021/10)→神舟14号(2022/6)→神舟15号(2022/11)
Module 問天 2022/7
Module 夢天 2022/10
「天宮」完成 2022年内
宇宙望遠鏡 巡天 2024


中国は米国に対抗できる「宇宙強国」をめざしている。2013年に月面探査機が軟着陸し、2021年5月に火星探査機の地表探査に成功した。宇宙ステーションの建設には2021年4月に着手した。

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現在は国際宇宙ステーション(ISS)のみが運営されている。

米国のNASA、ロシアのロスコスモス、日本のJAXA、カナダのCSA、欧州11カ国のESAの15カ国・5宇宙機関が参加する多国籍共同プロジェクトである。 中国は参加していない。

米議会は2011年、国家安全保障上の懸念があるとして、米国の宇宙計画に中国を参加させないことを決定した。
これにより、NASAなどは中国との協力や、2国間で合意などを結んではいけないことになった。当然ながら中国は国際宇宙ステーション(ISS)にも乗ることは許されない。

このため中国は独自の宇宙ステーション建設を進めている。

国際宇宙ステーションは建設当初は2016年に運用を終える予定であったが、2024年までの運用延長が決まっていた。

米国政府は2021年12月31日、ISSを2030年まで運用する計画を発表、NASAは2022年2月3日、運用を2030年に終了し、2031年初頭に太平洋に落下させる予定だと発表した。

なお、ウクライナ問題の発生を受けても、ISSでのロシアの参加は変わらない。ロシアはISSの姿勢制御を担当しており、NASAは「ロシアによる姿勢制御と、米国による電力生産がともになければ、ISSは運用できない」としている。ISSと地球との間の宇宙飛行士の行き来も、ロシアの宇宙船ソユーズが一部担っている。

国際宇宙ステーションがなくなると、中国の宇宙ステーションが唯一となる可能性がある。

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