アメリカやカナダ、中南米の米州機構(Organization of American States)首脳が集まる米州首脳会議が6月8日、ロサンゼルスで始まった。10日まで開かれる首脳会議では、移民問題や気候変動などについて議論が交わされる見通し。
バイデン大統領は各国の首脳らを前に「われわれはすべてにおいて常に同意するわけではないが、民主主義では対話と敬意を持って相違を乗り越えていける」と呼びかけた。
新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ中南米経済の回復に向け、経済連携を深める方針を表明した。米州開発銀行(IDB)など域内の経済機関を生かし、中南米への投資を促進する。サプライチェーンの多様化とリスク軽減でも連携したい考えである。
今回の首脳会議にはホスト国アメリカが「独裁者は招待されるべきではない」としてキューバとベネズエラ、それにニカラグアの3か国を招待しなかった。バイデン政権は「政敵を投獄し、不正選挙を行った権威主義国」を招待しないとしている。
ニカラグアは2021年11月19日、脱退手続きを開始したことを 発表した。11月7日の大統領選で、反米左派のオルテガ大統領が連続4選を果たしたことに関して、米州機構が「民主的な正当性がない」とする決議を採択したことに対する措置としている。
キュ-バは1962年の対キューバ制裁決議により、カストロ政権の参加を排除され、同年キューバ側もOAS脱退を発表した。その後,2009年に同決議を廃止する旨の決議が採択された。
2015年パナマでの第7回サミットでキューバは初参加。当時のアメリカのオバマ大統領と首脳同士の握手も実現した。
これに反発して、メキシコのロペスオブラドール大統領が「全ての国を招待しないなら欠席する」として欠席、エブラルド外相を代理で出席させた。
グアテマラ、ボリビア、ホンジュラスなどの首脳も出席せず、 首脳出席は23か国にとどまった。米メディアはアメリカの求心力が低下していると指摘している。
米国による不法移民対策で最も協力が欠かせないメキシコが、外相による代理出席にとどまったのバイデン政権に痛手となった。
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米州機構(Organization of American States)は、1948年4月に調印されたボゴタ憲章(米州機構憲章)に基づいて、1951年12月に発足した国際機関で、35か国が参加する。
北米(2カ国) アメリカ合衆国、カナダ 中米(8か国) メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、パナマ、ベリーズ 、ホンジュラス、
ニカラグアカリブ海
(13カ国)アンティグア・バーブーダ、キューバ、グレナダ 、ジャマイカ、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセント・グレナディーン、セントルシア、ドミニカ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、ハイチ、バハマ、バルバドス 南米
(12カ国)アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム 、チリ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア
グリーンランド、プエルトリコ、アルバ、キュラソー、シント・マールテン、フランス領ギアナなどはいずれも独立国では無いため、参加資格を有しない。
日本を含む69カ国とEUが常任オブザーバーの資格を持つ。
第1回米州サミットは1994年12月にマイアミで開催され、(a)民主主義の維持・強化、(b)経済統合と自由貿易を通じた繁栄の促進、(c)貧困と差別の撲滅、(d)持続的開発のテーマ、について議論し、マイアミ宣言、並びに23項目の「行動計画」を採択した。
3年程度に一度開かれており、今回は9回目となる。
中南米諸国には、「中南米の問題は中南米で解決する」として、2011年12月にアメリカとカナダを除く33か国でつくるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)が発足している。将来的な中南米統合を長期的な目標に掲げている。
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