太陽光発電の大型蓄電池事業

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NTTアノードエナジー、九州電力及び三菱商事は6月10日、再生可能エネルギーの更なる活用及び導入促進に向けて、系統用蓄電池を活用して太陽光発電の出力制御量低減に貢献する共同事業の検討を開始したと発表した。


NTTアノードエナジーは、NTTグループのスマートエネルギー事業推進の中核会社として、下記の再エネを中心としたスマートエネルギー事業を展開している。
①再生可能エネルギー電源を開発する「グリーン発電事業」、②顧客の脱炭素化をサポートする「グリーンエネルギーソリューション事業」、③エネルギーの安定化・効率化を実現する「蓄電所事業」

日照に恵まれる九州は太陽光発電所が多い。2021年5月末時点で九州の太陽光発電設備の導入量は1035万キロワットで、全てがフル稼働すると仮定した場合、九州全体の電力消費量を超えることもあり得る規模である。原発4基も稼働している。このため、天候が良く電気の使用量が少ない春と秋を中心に電力が大幅に余剰となる。

余剰能力は中国九州間連系線を経由し関西に送るが、能力は280万kW しかない。

九州電力は2016年3月に世界最大級の大容量蓄電システムを備えた豊前蓄電池変電所の運営を開始した。(出力:5万kW、容量:30万kWhのNAS電池)

このため、電力の発電量と使用量のバランスを保つため、発電量の超過が想定される場合、発電所の出力を一時的に抑制する「出力制御」を実施している。

2022年4月には、四国、東北、中国、北海道でも実施した。

政府は2050年カーボンニュートラル及び温室効果ガス排出量2030年度46%削減(対2013年度比)の目標を掲げ、再エネの主力電源化を推進している。

そのなかで、他の地方で電力が不足しながら、九州で出力制御するという事態が発生する。

2022年3月には、主に東京エリアで電力需要量が供給量を上回る厳しい見込みとなったため、全国で初めて「電力需給ひっ迫警報」が発令された。

政府は今年の夏、7年ぶりに家庭や企業に対して節電要請を行う。「東北・東京・中部の3つのエリアで、予備率が3.1%とギリギリの状況」としている。

問題解決には2つの方法がある。一つは蓄電能力の増強で、もう一つは送電網の拡大である。

今回、3社は各社が持つ経営資源やノウハウ等を活用し、系統用蓄電池を用いて太陽光発電の出力制御量を低減させるとともに各種電力市場での取引等でマルチユースする事業モデルの構築を目指す。

その第一歩として、NTTアノードエナジーが九州内に設置する系統用蓄電池を活用して、事業立上げに向けた具体的検討に取り組む。

NTTアノードエナジーの系統用蓄電池

  設置時期 2023年2月(予定)
  設置場所 福岡県田川郡(予定)
  導入設備 リチウムイオン電池(4.2MWh)、電力変換装置(1.4MW)、蓄電池制御システム 一式

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別途、政府は再生可能エネルギーの普及のため次世代送電網を増強する。


2022/1/6 再生エネルギー普及へ送電網増強

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