出光興産は6月14日、西部石油を完全子会社化し、2024年3月を目途に西部石油の山口製油所の精製機能を停止すると発表した。
国内の石油製品需要は、高齢化や人口減少といった構造的な要因に加え、新型コロナウイルスの影響や、世界的な脱炭素への潮流によって更なる減少が見込まれるため、西部石油を子会社化したのち、製品引取契約を終了し、同社の山口製油所の精製機能を停止することが最善であると判断した。
両社は下記の点で合意した。製油所跡地での油槽所機能および国家備蓄へのタンク貸事業等を当面継続すること、西部石油が新規事業を検討することにつき出光興産グループの最重要事項の一つとして取り組むこと
西部石油グループの従業員の雇用維持および雇用条件の確保に協力して取り組んでいくこと
西部石油の事業運営や精製機能停止に関する資金調達のために必要かつ合理的な措置(債務の保証等)に出光興産が協力すること
西部石油は1962年設立で、山口製油所の能力は120,000バレル/日。
同社の株主は次のとおりであったが、出光は同日、一部株主から株式の買い取りを行ない、55.90%とした。今後、残り株主からも買い取る。
従来 今回 出光興産 38.00 55.90 UBE(旧称 宇部興産) 11.00 0 中国電力 10.79 0 商船三井 5.00 0 みずほ銀行 5.00 5.00 セントラル硝子 4.94 4.94 KHネオケム 3.87 3.87 その他 21.40 19.29
なお、ENEOSは1月25日、全国に10ある製油所の1つ、和歌山製油所の精製(127.5千バレル/日)・製造、物流機能を2023年10月をメドに止めると発表した。
同社はまた、根岸製油所の第1トッパー(120千バレル/日)と、その系列の二次装置である減圧蒸留装置や接触分解装置など原油処理装置の一部および潤滑油製造装置を2022年10月目途に廃止する。
合計で247.5千バレル/日の削減となる。
各社の原油処理能力は下記の通り。
単位:バレル/日 | 2011/1 | 2020/3 | 2021/3 | ||
ENEOS | 鹿島石油 | 鹿島 | 252,500 | 197,100 | 203,100 |
旧 JXTG | 室蘭 | 180,000 | ー | ー | |
仙台 | 145000 | 145,000 | 145,000 | ||
根岸 半減 | 270,000 | 270,000 | 270,000 | ||
水島 | 380,200 | 320,200 | 350,200 | ||
麻里布 | 127,000 | 120,000 | 120,000 | ||
大分 | 136,000 | 136,000 | 136,000 | ||
大阪(国際石油) | 115,000 | 115,000 | ー | ||
千葉→国際石油 | 129,000 | 129,000 | |||
(極東石油) | 千葉 | 175,000 |
↑ |
||
旧 東燃ゼネラル | 川崎 | 335,000 | 235,000 | 247,000 | |
堺 | 156,000 | 135,000 | 141,000 | ||
和歌山 停止 | 170,000 | 127,500 | 127,500 | ||
合計 | 2,441,700 | 1,928,800 | 1,868,800 | ||
出光興産 | 出光興産 | 北海道 | 140,000 | 150,000 | 150,000 |
千葉 | 220,000 | 190,000 | 190,000 | ||
愛知 | 160,000 | 160,000 | 160,000 | ||
徳山 | 120,000 | ー | ー | ||
昭和四日市石油 | 四日市 | 210,000 | 255,000 | 255,000 | |
西部石油 | 山口 停止 | 120,000 | 120,000 | 120,000 | |
東亜石油 | 京浜 | 185,000 | 70,000 | 70,000 | |
合計 | 1,155,000 | 945,000 | 945,000 | ||
コスモ石油 | 千葉 | 220,000 | 177,000 | 177,000 | |
四日市 | 125,000 | 86,000 | 86,000 | ||
堺 | 100,000 | 100,000 | 100,000 | ||
坂出 | 110,000 | ー | ー | ||
合計 | 555,000 | 363,000 | 363,000 | ||
太陽石油 | 四国 | 120,000 | 138,000 | 138,000 | |
富士石油 | 袖ヶ浦 | 140,000 | 143,000 | 143,000 | |
南西石油 | 沖縄 | 100,000 | ー | ー | |
帝国石油 | 頚城 | 4,724 | ー | ー | |
合計 | 4,516,424 | 3,518,800 | 3,457,800 |
ENEOSは2020年9月25日、中国石油国際事業傘下の中国石油国際事業日本とのJVの大阪国際石油精製が運営する製油所を、12月に現在の大阪製油所から千葉製油所に変更し、合弁事業を継続することについて最終合意に至ったと発表した。大阪国際石油精製(ENEOS 51% 中国石油国際事業日本 49%)は、2010年10月に設立。
下記の通りとなる。
大阪精油所:(原油処理能力115千BD)
ENEOSが大阪国際石油精製から取得、2020年10月に精製機能を停止、アスファルト発電設備へ
千葉製油所:(原油処理能力129千BD)
大阪国際石油精製がENEOSから取得
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