ドイツ、ロシア天然ガス減で、石炭火力を拡大

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ロシア国営 Gazprom は6月14日、天然ガスパイプラインNordstream 1 の供給量を40%減らすと発表、翌15日、さらに33%削減すると発表した。(合計60%カット)

従来の日量最大1億6700万立方メートル であったが、16日午前1時半をもって供給量は最大6700万立方メートルになる

「エンジンの技術的な状態」のためガスタービンの運転を停止すると説明するが、ドイツのウクライナ支援への報復とか、価格を更に引き上げるためとかの理由が噂されている。

2022/6/17 Gazprom、ドイツ向けの天然ガス供給を削減

ドイツはロシアの天然ガスに大きく依存している。侵攻前、ドイツはガスの55%をロシアからの輸入に頼っていた。

来冬の需要に備え、天然ガスの貯蔵が必要だが、現時点ではドイツのガス貯蔵量は最大能力の5~6割程度にとどまっている。

ドイツのハベック経済・気候相は6月19日、ロシアからの天然ガス供給が大幅に減る事態に備え、 発電に利用するガスの消費量を減らし、石炭火力発電の稼働を拡大させる法整備を進めると発表した。

ガス節約を促すため、消費量を減らした企業ほど有利になる新たな仕組み「ガスオークション」の導入も計画する。

「(冬までに)できるだけ多くのガスを蓄えることが必要だ」とし、2030年までに火力発電の全廃を目指す取り組みと逆行することについて、「つらいことだが、ガス消費量を減らすためには必要なことだ」と理解を求めた。

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ドイツの発電のエネルギーソース内訳は下図の通りで、再生可能エネルギーが40.9%を占め、石炭・褐炭が27.9%、原子力が11.8%、天然ガスが15.3%を占める。

 ソース:https://www.de-info.net/kiso/atomdata01.html

 

ドイツは2021年に、温室効果ガスを2030年までに1990年比で65%削減することを決めている。

2030年に国内総電力の80%を再生エネルギーにし、石炭火力については2030年までに段階的廃止する。原発については2022年中に全廃する。

 ドイツ新政権の連立協定

自然エネルギー
・ 2030年に、年間総電力需要680〜750TWhのうち80%を自然エネルギーで供給する。
・ 国土の2%を陸上風力発電に利用する。
・ 洋上風力発電の容量を大幅に拡大し、少なくとも2030年に30GW、2035年に40GW、2045年に70GWを目指す。
・ 2030年までに、太陽光発電容量をおよそ200GWまで拡大させる。
・ 新築事業用建築物への太陽光発電設備の設置義務化、新築住宅への設置も原則とする。
・ 2025年1月1日までに新しく設置される全ての暖房システムは、自然エネルギーによる運用比率65%を目指す。
・ 社会的公平性のため、2023年1月には電気料金を介した再エネ賦課金を廃止する。

石炭
・ 理想的には2030年に脱石炭完了を前倒す。
・ 脱石炭にむけた過渡期には、自然エネルギーの大規模な拡大と最新型ガス火力発電所の建設が必要である(H2-ready)。
・ 脱石炭の影響を被る地域に対する石炭地域構造強化法の施策を前倒し・加速し、調整手当などの労働政策上の措置も調整
・ 石炭火力発電の解体と土地の復旧のための財団・組織の設立を検討する。

原発
・ ドイツの脱原発を固持する。

気候変動対策
・ ドイツを「1.5度」の軌道へと導くことを主要課題とする。
・ 遅くとも2045年までに気候中立を達成する。
・ 2022年に連邦気候保護法を再度改正し、同年末までに必要な法整備をして新たな気候保護緊急プログラムを導入する。
・ 連邦経済・気候保護省を新設し、緑の党から連邦経済・気候保護大臣を設ける。
・ 気候チェック(Klimacheck)を行い、各省庁が起草する法案について気候への影響や国の気候保護目標との整合性を検証

その他
・ 2030年に、少なくとも1,500万台の電気乗用車(EV)を普及させる。
・ 水素経済・インフラの整備を加速化し、2030年に10GW程度の電解容量を実現する。

残るのは天然ガスであるが、今回、これが60%削減されることになり、やむを得ず、石炭火力を増やす。

なお、ロシアへのガス依存を減らすために原発稼働延長案が出たが、政府は3月8日、これを却下した。年内に残る3原発が廃止される。

2020/7議会 2021年 2021/12/31 2022年中
温室効果ガス 2030年までに1990年比 65%削減
2045年までにネットゼロ
(2021/6 連邦気候保護法 改正)
国内総電力 2030年に80%を再生可能エネルギー
(2021/11 連立政権)
石炭火力 2038年までに全廃「脱石炭法」 前倒し 、2030年までに段階的廃止
(2021/11 連立政権)
原子力発電 脱原発 維持
(2021/11 連立政権)
3基停止
 Brokdorf
 Grohnde
 Gundremmingen
残り3基停止(ゼロに)
 Emsland
 Isar
 Neckarwestheim

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