世界貿易機関(WTO)の閣僚会議が6月12日、スイス・ジュネーブの本部で開幕した。ロシアのウクライナ侵攻で脅かされる食料安全保障や、漁業補助金の問題などを議論する。
世界貿易機関(WTO)の有志の加盟国・地域は6月12日、ウクライナへの連帯を示す共同声明を発表した。
声明要旨
ウクライナに対する侵略によって引き起こされた壊滅的な人的損失と深刻な苦しみに深い悲しみを表明する。2022年3月2日および2022年3月24日の国連総会決議への支持を改めて表明する。
戦争は、ウクライナの経済や貿易能力などに壊滅的な影響を及ぼしている。道路、橋、港、鉄道など、ウクライナの交通インフラの大部分が破壊されたことで、ウクライナの生産、輸出、輸入の能力が大幅に低下している。
特に農産物や食品、肥料、ひまわり油、重要な鉱物など、ウクライナが生産する多くの主要商品の国際市場への供給に関して深刻な懸念を抱いている。また、ウクライナから穀物が略奪されたという多くの報告にも深い懸念を抱いている。これらの行動は、WTOの原則と価値観と対立している。ウクライナは、小麦、トウモロコシ、大麦、ひまわり油などの主要な農産物の世界最大の輸出国の1つで、世界食糧計画への主要な供給者である。ウクライナの黒海へのアクセスの遮断を含む戦争の影響は、開発途上国で世界の最も脆弱な地域のいくつかへの食糧供給を深刻に危うくしている。何百万人もの人々を食糧不安に追いやるリスクがあり、COVID-19によって引き起こされたすでに深刻な状況に追加される。
我々はウクライナを支援し、その輸出を促進することを目指す。
WTOには164カ国・地域が加盟するが、ロシア批判は抑えたものとなっているにもかかわらず、署名したのは欧州諸国、日米韓や台湾、中南米の一部など56カ国・地域にとどまった。アフリカの多くの国はウクライナの小麦等に依存しているが、署名したのはシェラレオネ1カ国のみである。
欧州では、EU加盟の27か国全てと、非加盟の11カ国の合計38か国が署名したが、NATO加盟国のアイスランドとトルコの2カ国は署名していない。
トルコは現在、ウクライナからの食糧輸出についてロシアと協議している。米大陸では、米国、カナダと中南米の8か国の合計10カ国が署名。
アジアでは日本、韓国、台湾、シンガポールの4か国にとどまった。
その他では、豪州、ニュージーランドとイスラエル、シェラレオネの4国で、合計56か国である。他にEUが署名した。
ロシアと親しく、対ロ制裁に反対する中国や、厳しい批判を避けるインドやサウジアラビア、ブラジル、南アフリカなどは加わらなかった。
東南アジアではシンガポールだけが署名した。
署名 赤字は旧ソ連 |
非署名 | |||
NATO加盟 | NATO非加盟 | NATO加盟 | ||
欧州 | EU | イタリア、オランダ、フランス、ベルギー、ルクセンブルグ、デンマーク、ポルトガル、ギリシャ、ドイツ、スペイン,チェコ、ポーランド、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、 (21) | アイルランド、オーストリア、フィンランド、スウェーデン、キプロス、マルタ(6) | |
non-EU | 英国 ノルウェー、アルバニア、モンテネグロ、北マケドニア、(5) |
ジョージア、リヒテンシュタイン、モルドバ、スイス、ウクライナ、アイスランド(6) | アイスランド トルコ |
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中東 | イスラエル | |||
北米 | 米国、カナダ | |||
中南米 | メキシコ、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ(8) | |||
アジア | 日本、韓国、台湾、シンガポール | |||
ANZ | 豪州、NZ | |||
アフリカ | シエラレオネ | |||
合計 | 28 カ国 | 28 カ国 | ||
56カ国 |
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