IMFによる世界のGDPの予測

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IMFは7月26日、 減速する世界経済成長に立ち込める不透明で暗い見通しと題する報告を発表した。

「世界の3大経済国・地域の失速が世界経済見通しに大きく影響している。インフレが主要な懸念事項だ。

パンデミックとロシアのウクライナ侵攻によって混乱が続く世界経済は、不確実性の高い暗澹たる見通しに直面している。4月の世界経済見通し(WEO)で警告した下振れリスクは、その多くが現実になり始めている。

インフレは米国と主要な欧州諸国を中心として想定以上に上昇し、世界金融環境のタイト化を招いている。
中国は新型コロナウイルス感染拡大とロックダウンを受けて予想以上に鈍化しており、ウクライナ戦争からはさらにマイナスの波及効果が生じた。

その結果として、今年の第2四半期は世界GDPが縮小した。」

IMFによる2022年と2023年の各国・各地域のGDP予想は下記の通りで、2021年実績から大きく下落するとしている。

「世界経済成長率は昨年の6.1%から減速して今年は3.2%、来年は2.9%となる見込みであり、それぞれ4月の予測値から0.4%ポイント、0.7%ポイントの引き下げとなった。
これには米国、中国、ユーロ圏という3大経済国・地域の失速が反映されており、世界経済見通しはその影響を強く受けた。」





「経済活動が減速する一方で、世界のインフレ率は食料・エネルギー価格の上昇を一因として上方改定された。

インフレ率は今年、先進国で6.6%、新興市場国・発展途上国で9.5%に達すると予想され、それぞれ0.9%ポイント、0.8%ポイントの上方改定となった。同率は今後も高止まりする見込みである。

物価上昇は多くの国々へと拡大したが、その背景には、サプライチェーンの混乱やかつてない労働市場のタイト化から生じたコスト圧力がある。」





「今日のインフレ水準は、現在および将来のマクロ経済の安定性にとって明白なリスクを示しており、政策当局者は中央銀行の目標値までインフレ率を戻すことを最優先目標に掲げるべきである。

主要先進国の中央銀行は、IMFが4月に予想したよりも速いペースで金融政策面の支援を解除しており、多くの新興市場国・発展途上国では昨年からすでに金利上昇が始まっている。

このように金融政策の引き締めが諸国間で同期化する状況は過去に例がなく、その効果は来年の世界経済鈍化やインフレの減速という形で現れるだろう。

金融政策の引き締めを強化すれば必ず大きな経済的代償を伴うが、後延ばしにすれば一層苦境に立たされるだけである。引き締めに着手した中央銀行は、インフレを制御できるまで今の方針を堅持すべきだ。」

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