TotalEnergiesは8月26日、ロシアで天然ガスを生産するTerneftgasの持分49%をパートナーで51%を保有するNovatekに売却すると発表した。
TotalEnergiesは2016年5月20日、ロシアのヤマロ・ネネツ自治管区で天然ガスとコンデンセートの生産を開始すると発表した。生産を開始したのは Termokarstovoye オンショア油田で、1日当たりの生産能力は天然ガスが 660 万立方メートル、コンデンセートが 2 万バレル。総生産能力は石油換算で 1 日当たり 6 万 5,000 バレルとなる。
運営はTotalが 49%、ロシア 2 位の天然ガス会社Novatekが 51%出資して設立した合弁会社Terneftegas が担当する。
Total とNovatek は7月18日に合弁解消で合意、ロシア当局に承認を求めていたが、8月25日に認可が下り、譲渡契約に調印した。「投資残高を回収できる条件」で合意したとしている。
Totalは7月に、ロシアのハリヤガ油田(Kharyaga)で保有している権益(20%)の全てをロシア国営の石油会社ザルベジネフチ(Zarubezhneft)に譲渡することで合意したと明らかにしている。
ハリヤガ油田事業は生産分与契約で運営しており、この契約の一環でTotalは毎月約10万トンの輸出用石油を受け取っていた。
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Terneftgasに関してはルモンド紙の報道で騒ぎとなっていた。
仏紙ルモンドが8月24日に報じたところによると、ロシア空軍の2カ所の基地に供給されたジェット燃料は、TotalEnergies とロシアのNovatekの合弁会社Terneftegas(Novatek 51%、Total 49%)が供給するガスコンデンセートから製造された。
フランスのボーヌ交通担当相は8月25日、この報道を巡り、Totalの関与があったか検証が必要との認識を示した。
交通担当相は「これは極めて深刻な問題だ」と述べ、ロシアに対する制裁を回避する行為があったか検証する必要があると主張した。
これを受け、TotalEnergiesはNovatekに問い合わせたうえで、下記の発表を行った。
Terneftegasを含むNovatekの子会社や他の合弁会社で生産される不安定なコンデンセートは、すべてNovatekのPurovsky コンデンセート処理プラントに送られる。 Purovsky プラントでは、ロシアの他の生産者からのコンデンセートも処理しているが、その比率は20%を超えていない。
Purovsky コンデンセート処理プラントで生産された安定コンデンセートは、すべてレニングラード地域のUst-Luga工場に納入される。 Ust-Luga工場で加工される製品にはジェット燃料(Jet A-1)が含まれるが、これはロシア国外に輸出され、国内での販売許可を得ていない。
TotalEnergies はロシア空軍にケロシンを供給していないことを確認した。ルモンドの批判は根拠のないものと考える。記事に怒りを感じる。
TotalEnergies はTerneftgasの少数株主(49%)であり、運営はNovatek が行なっている。2015年以降、追加出資をしておらず、2022年2月以降、配当を受け取っていない。
現在、Terneftgasの持分の売却手続きに入っている。
そもそも、特殊な部品が軍事用に使われたら問題であるが、天然ガスからのケロシンはどこの天然ガスからでもつくられるもので、(そうではなかったが)Total出資のJVの天然ガスが使われたと問題にすること自体がおかしい。ロシアの企業に出資していることを問題にするなら別であるが。
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TotalEnergiesはTerneftgasやハリヤガ油田権益を売却したが、ロシアからの撤退ではない。
TotalEnergiesはNovatek に19.4%出資している。
NovatekのYamal LNG計画に出資している。
Novatek 50.1% Total 20.0% 2011/3/2 調印 ロシアの天然ガス開発ーBP撤退、Total進出 CNPC 20.0% 2013/9 参加合意、2014/1/14 株式買収完了 絲路基金 9.9%
同じくNovatekのArcticLNG2プロジェクトに出資している。
Novatek 60% Total 10% CNODC 10% CNOOC 10% 三井物産/JOGMEC
(25%) (75%)10%
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