INEOSは7月28日、中国SINOPECとの間で総額70億ドルに達する3つの石化事業での提携契約に調印したと発表した。
1) Shanghai SECCO Petrochemical Company(上海赛科石油化工)に50%出資
Shanghai SECCO Petrochemical は、BP 50%、SINOPEC 30%、上海石化 20% のJVとして上海市漕涇地区の上海ケミカルパークに設立され、2005年3月に商業生産を開始した。
原料はナフサで製品は以下の通りであった。
その後、能力は下記のようになった。
エチレン 109万トン、BTX 65万トン、SM 65万トン、PS 30万トン、PE 60万トン、PP 25万トン、ANM 52万トン。
BPは2017年4月27日、上海SECCOの持分(50%) を、上海SECCOのパートナーのSinopecの子会社上海高橋石化 に16.8億ドルで売却することで合意したと発表した。2017/5/1 BP、上海SECCO石油化工の持分をSinopecに売却
今回、INEOSが旧BP持分を引取り、JV当事者として参加する。
2021年1月1日、取引を完了した。
なお、BPは上記の上海SECCO持分の売却の3年後の2020年6月29日に、世界中の石油化学事業をINEOSに売却することで合意したと発表した。売却価額は総額50億ドル。
中国関連では下記事業を含んでいる。SINOPECとのJV(BP YPC Acetyls)を含む。
Zhuhai, China BP Zhuhai Chemical PX 90万トン BP 91.9%
(当初、BP85% / Zhuhai Port 15%)MX 10万トン 酢酸 60万トン Chongqing, China Yangtze River Acetyls 酢酸 BP枠 20万トン BP 51%/Sinopec Sichuan Vinylon Works 44%/Chongqing Energy Investment Group 5% エステル BP枠 10万トン Nanjing, China BP YPC Acetyls 酢酸 BP枠 30万トン BP 50%/Sinopec 50% 2020/7/2 BP、石油化学事業をINEOSに売却
両社はINEOSのABS技術に基づき、ABSの50/50JVを設立する。
現在、INEOSが寧波に建設中の60万トン設備を含めるとともに、別途60万トンの設備を建設する。
INEOS Styrolutionは2020年1月、寧波にWorld class のABSプラントを建設すると発表した。能力は60万トンで、2020年に建設を開始、2023年完成を目指す。
なお、INEOSは2014年に、ABS原料のアクリロニトリル技術供与契約違反でシノペックに法的アクションをとったことがある。
2014/3/31 INEOS、アクリロニトリル技術供与契約違反でシノペックに法的アクション
3) HDPE JV
両社はHDPEの50/50JVを設立する。
天津に新しく50万トンのHDPE設備を建設する。
さらに将来、HDPEのパイプグレード生産のため、INEOSの技術供与で、50万トンのHDPE設備を少なくとも2基 建設する。総能力は150万トンとする。
これにより、INEOSはSINOPECとの関係を強化し、中国における存在感を高める。
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