田辺三菱製薬の連結子会社のカナダのMedicagoが開発しているCOVID-19の植物由来のウイルス様粒子ワクチン(商品名 :COVIFENZ)は2月にカナダで承認を取得したが、米国工場で商用規模への量産に課題が見つかり、事業計画を見直す。
たばこ属の葉に遺伝子を組み込んで抗原を作るが、段階的に生産を引き上げる「スケールアップ」に課題が見つかり、計画通りに量産できない状況という。
最大7600万回分の契約を結ぶカナダ政府への供給ができない状態で、9月までに承認申請する計画だった日本の実用化も遅れる。
原因究明と並行し、21%出資する米たばこ大手Phillips Morrisなどと協議し、事業計画を修正する。
Medicagoのこれまでの計画では、2024年までにカナダと米国で合計年10億回分の生産能力を確保する。カナダ政府と最大7600万回分を供給する契約を結んでおり、2021年末までの実用化をめざすとしてていた。
日本でも需要を見極めたうえで国内生産を検討する。
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Medicagoは植物由来のウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社で、遺伝子操作によって植物の細胞内にVLPを生成させ、効率的に抽出・精製する独自技術を有している。
田辺三菱製薬は2013年7月12日、Philip Morrisと共同で、カナダのMedicago Inc.の全株式を取得することで同社取締役会と合意したと発表した。
両社は買収後のMedicagoを、田辺三菱60%、Philip Morris 40%のJVとして運営する。2013/7/19 田辺三菱製薬、カナダ医薬品会社Medicagoを子会社化
報道では現在の出資比率は田辺三菱が79%、Philip Morrisが21%となっている。
Medicagoは下記の技術を持つ。
Proficia™ 植物の葉でのワクチン製造
2016/2/26 田辺三菱製薬、タバコの葉からインフルエンザワクチン
VLP 遺伝子情報を持たないウイルス様粒子(体内でウイルスの増殖がなく安全性に優れる)
VLPExpress™ 新ワクチンを早く見つける手法
田辺三菱製薬は2021年9月30日、連結子会社のカナダのMedicagoが開発しているCOVID-19の植物由来のウイルス様粒子ワクチン(開発番号:MT-2766)について、10月2日より日本において第1/2相臨床試験を開始すると発表した。2022年3月までに日本での承認申請をめざすとした。
国内の承認申請時までに米国、英国、カナダ、ドイツ、フランスのいずれかで承認又は緊急使用許可(EUA)が取れていると「特例承認」が得られる。
田辺三菱製薬は2022年2月24日、カナダで承認を取得した。(商品名:COVIFENZ)
なお、MedicagoはWHOに承認申請したが、WHOの関係者は2022年3月16日、Medicagoが開発した植物由来の新型コロナウイルスワクチンは、同社がタバコメーカーのPhilip Morrisからの出資(Philip Morris 21%)を受けていることを理由に、WHOの緊急使用承認を「受けられない可能性が非常に高い」と発表した。
タバコや武器会社との提携に関するWHOの「非常に厳しい」ポリシーに抵触する恐れがあるため、緊急使用承認が一時停止されているという。
Medicago はWHOへの申請を取り下げたと報じられている。
三菱ケミカルホールディングスは5月13日、Medicago が開発する植物由来の新型コロナウイルスワクチンに関して、今年度中の国内への承認申請のスケジュールに変更はないとの見通しを示した。
世界保健機関(WHO)への緊急使用許可手続きが受け入れられていないが、三菱ケミカルは「日本への承認申請への影響はない。この件についてカナダ政府と協議を続けているが、詳しいことは申し上げられない」としている。
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