韓国の科学技術情報通信部は8月5日、 韓国初の月軌道衛星「タヌリ」(Danuri) が米フロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍基地でスペースXのファルコン9 ロケット により打ち上げられ、高度703キロメートルの地点でロケットから分離され、月の遷移軌道(トランスファ軌道)進入に成功したことを確認したと発表した。地上局との初交信に成功し 、太陽電池パネルを広げて電力生産を開始した。各装置が正常に作動しているこを確認した。
月の探査までの任務を成功させれば日本や米国、ロシア、中国、インド、欧州連合に続き7番目になる。
タヌリは韓国航空宇宙研究院とハンファ、韓国航空宇宙産業、韓国電子通信研究院など韓国内産·学·研59ヶ所が開発した。
ハンファが推進システムを開発し、韓国航空宇宙産業が構造体試験製作、組立試験などを支援した。搭載体開発には、デッキ航空、グリーン光学、未来技術、センサーピアなど中小企業が参加した。
タヌリは韓国語で月を意味する「タル」と、享受する・楽しむを意味する「ヌリダ」の合成語で、一般公募から選ばれた 。
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韓国は6月21日に、独自開発した国産ロケット「ヌリ」(KSLV-Ⅱ:Korea Space Launch Vehicle-2)を南部の全羅南道・高興の羅老宇宙センターから打ち上げ、人工衛星を高度700kmまで運び、宇宙空間の目標軌道に乗せることに初めて成功した。
2022/6/25 韓国、国産ロケットで実用衛星打ち上げに成功
今回は月軌道衛星の打ち上げだが、打ち上げそのものは米国のスペースXのロケットに依存している。
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今後、太陽と地球の重力が釣り合うラグランジュL1 地点(地球から約150万キロの距離)を経て最大156万キロ離れた太陽側の遠い宇宙まで飛行した後、太陽と地球の重力を活用して地球側に方向を変える。
太陽側の宇宙に飛行後、最大9回の軌道修正起動をした後、地球の重力に引かれて戻りながら月に近づき、12月16日に月の周囲を回る軌道に入る。
その後は5回の減速機動を経て正確な目標軌道に入った後、12月31日に任務遂行を始める。
来年からの1年間で月面上100キロメートルの円軌道を一日12回まわり、月着陸候補地探索、月資源研究、宇宙インターネット技術検証などさまざまな科学任務を遂行する予定。
タヌリは韓国電子通信研究院が開発した宇宙インターネット機器を活用し、世界で初めて深宇宙探査用宇宙インターネット試験を行う予定。
従来の宇宙インターネットは低軌道で衛星を打ち上げて地球全域にインターネットサービスを供給するものだが、タヌリが試みる宇宙インターネットは「惑星間通信」で、成功すれば、先進国間で開発競争が繰り広げられている惑星間通信技術において韓国がリードすることになる。
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