米大統領、学生ローン返済免除表明

| コメント(0)

バイデン米大統領は8月24日、学生ローンを抱える数百万人の借り手に対し1人当たり1万ドルの返済を免除すると述べた。

2020年の大統領選挙で公約 していた。

パンデミック下で特に大きな打撃を受けた労働者や中流階級の人々のための措置だとし、高所得世帯 (所得上位5%)は対象外とする。

延長を繰り返し、8月末としていた学生ローンの返済猶予措置を年末まで延長するほか、年収125千ドル以下、夫婦の場合は合計25万ドル以下の世帯に対し1万ドルの学生ローンの返済を免除する。

低所得者層の学生を対象とするPell Grantsと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては最大2万ドルの免除を行う。

学生ローンの対象は約43百万人で、うち20百万人が債務全額免除となる。

ーーー

米国の学生ローンは1兆7500億ドルで、大半が連邦政府のローンである。

連邦学生ローンは民間の学生ローンに比べて低金利で借りられ、返済プランが柔軟であるなど、民間の学生ローンよりも有利な点が多いが、全期間にわたって金利は定率であり、低利子のローンに借り換えすることが困難である上に、破産免責されないことが通常であるといった不利な点がある。

自己破産の場合、連邦政府の資金が返済されないことから、これを防ぐため、1998年10月8日以降、連邦学生ローンは自己破産した後も免責とならない厳しい措置がとられている

破産しても、取り立て業者から返済を迫られる。

John Grishamの小説 The rooster bar はこの問題を扱っている。

悪質業者が多くの法律大学を設立し、学生を集めるが、一流大学でないこれらの大学の学生は卒業しても高収入を得られず、借金まみれになって破産に追い込まれる状況を描いている。

一般的な米大学の1年当たりの学費は1万~7万ドルで、大卒者は社会人になると同時に多額の債務を負い、返済に数十年かかることもある。政府の推計によると、約2万5千ドルの負債を抱えて大学を卒業する。大統領は、「負債が重すぎて大学を卒業しても中間層の生活が送れない。多くの人が住宅ローンを組めない」とし、返済免除を労働者階級に資する政策とした。

低所得者層の学生を対象とするPell Grantsと呼ばれる連邦補助金がある。これは返済不要である。これは1965年に設立されたが、時間の経過で教育費が大幅に増加したが、補助金の額はわずかに増加しただけである。

以前は4年制の公立大学の費用の80%を占めたが、現在では約30%とされる。追加で一般の連邦学生ローンを借りざるを得ない。

今回、Pell Grantsと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては、連邦学生ローンについて最大2万ドルの免除を行う。


今回の発表を受け、米上院共和党トップのマコネル院内総務は、学生ローン返済免除は「犠牲を払って大学資金を貯めた全ての家庭、負債を返済した全ての卒業生、そして負債を背負わないために特定のキャリアパスを選んだり、軍隊に志願したりした全ての米国人に対する平手打ちだ」と非難 した。

コメントする

月別 アーカイブ