英国政府は9月2日、次世代の原子炉 開発のために330万ポンド(380万米ドル)を支援する計画を発表した。
高温ガス炉(high temperature gas reactors:HTGR) などのAdvanced Modular Reactor の開発計画(Research, Development and Demonstration programme) の支援に330万ポンドの支援を行う。
①HTGR技術の開発に各50万ポンドと、②HTGRのための被覆粒子燃料の開発に各25万ポンドを支援する。
今回、開発計画(Research, Development and Demonstration programme) 6件(①が4件、②が2件)が選ばれた。合計250万ポンドを受ける。
高温ガス炉開発 EDF Energy Nuclear Generation Hartlepool Heat Hubを英国初のHTGRの立地と想定 National Nuclear Laboratory 日本原子力研究開発機構、Jacobsと提携。
U-Battery Developments 原子燃料大手Urenco(ウラン濃縮プラントを運営している英国-ドイツ-オランダの核燃料コンソーシアム)の子会社で、高温ガス炉のマイクロ炉開発 Ultra Safe Nuclear Corporation micro modular reactor (MMR) 開発
被覆粒子燃料の開発 Springfields Fuels Urenco (上記)と提携 National Nuclear Laboratory Urenco Limited、Japan Atomic Energy Agencyと提携
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高温ガス炉は、炉心の主な構成材に黒鉛を中心としたセラミック材料を用い、核分裂で生じた熱を外に取り出すための冷却材にヘリウムガスを用いた原子炉。
軽水炉は、金属被覆管を使用し、冷却材には軽水を用いていることから、原子炉から取り出せる温度は300℃程度に制限され、蒸気タービンによる発電効率は30%程度に過ぎ ない。
これに対し、高温ガス炉は、耐熱性に優れたセラミック材料の使用により1000℃程度の熱を取り出すことができ る。
そしてガスタービン発電方式が採用でき、45%以上の発電効率を得ることができる。
さらに、発電以外にも化学工業等のさまざまな分野で熱を利用できる。
高温ガス炉の燃料に用いられている4重被覆のセラミック燃料粒子はきわめて耐熱性が高く、1600℃と非常に高温でも破損しない。
黒鉛材料の熱容量が大きく、異常が起きても炉心の温度変化が緩慢であることから、配管が破損して冷却材のヘリウムガスがなくなるような事故が起きても、炉心で発生する熱は原子炉の容器表面から放熱されることにより自然に除去され、燃料が破損する心配は ない。
高温の熱を使うことにより熱の利用効率が高くなること、原子炉の安全性が高いので異常事態に対処するための設備が簡素化できることから、高温ガス炉は経済性の観点からも優れた原子炉 とされる。
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