米連邦準備理事会(FRB)は9月21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.00~3.25%とした。
前回の6月会合で約27年ぶりに0.75%の利上げを決めており、その後、7月、9月と3回連続の0.75%の利上げ実施となる。
同時に発表された新たな金利見通しでは、 中央値が2022年末が4.4%と一段の大幅利上げを示唆 、2023年末が4.6%でピークとなり、2024年末に3.9%、2025年末に2.9%としている。
年内に予定される残り2回の会合で計1.25%の追加利上げが必要になるため、11月の次回会合でも0.75%の利上げが有力視される。
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2023年末の失業率見通しは前回の3.9%から4.4%に、個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は2.6%から2.8%にそれぞれ上方修正した。前回見通しより景気が悪化し、インフレが長期化する見通しになっている。
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8月26日の米ジャクソンホールでの年次会合で、パウエルFRB議長は、インフレを断ち切るために利上げを継続し、長期間にわたって政策金利を高い水準で維持する可能性が高いことを示唆した。「過去の歴史は早急すぎる金融政策緩和を強く戒めている」と述べ、市場の一部で広がっていた早期利下げ期待を一蹴した。
パウエル議長は9月8日、FRBがインフレ抑制に「強くコミットしている」と表明し、過去のインフレ対応でみられたような「非常に高い社会的コスト」を強いることなく、インフレを抑え込めるとしてソフトランディングを引き続き見込んでいるとした。
米労働省は9月13日に8月のCPIを発表した。 CPIの上昇率は6月に+9.1%と1981/11 以来の高水準に達した後、8月は+8.3%と7月(+8.5%)より減速したが、事前予想平均(+8.0%)を上回った。また、コアCPIが6.3%と前月より拡大した。
これを受け、FRBの大幅利上げ継続や景気悪化への懸念からリスク回避の株売りが膨らんだ。9月13日のNYダウ平均は急落、前日比 -1,276.37ドルの31,104.97ドルとなった。
FRB議長は早期の利下げ転換を否定した。「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」とし、金融引き締めについて「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べた。
バイデン米大統領は9月13日、米国の8月のCPIで進展がみられたとしながらも、「インフレを引き下げるには、より多くの時間と決意が必要だ」と述べた。
8月のCPIの結果を受けて、金融市場では米連邦公開市場委員会で1.0%の大幅利上げが行われるとの観測が一部で浮上し始めた。
今回、3回連続の0.75%の利上げとなったが、トレーダーは 次回の会合でも同幅の政策金利引き上げが決まるとの見方を強めている。
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