米最高裁、中国政府主導の米国でのビタミンCカルテルで二度目の審議せず

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米最高裁は2018年6月14日、中国のビタミンC メーカーによる価格カルテルの裁判で、控訴裁がカルテルは中国政府の指示によるもので無罪とした判決について、満場一致で誤りとし、再審査のため差し戻した。

事件は、2005年にTexasの動物飼料会社や New JerseyのビタミンのディストリビューターなどのビタミンC 需要家が、中国のビタミンC メーカーが2001年12月以降、米国で価格や供給量についてカルテルを結んでいるとして4つのグループを訴えたもの。

訴えによると、 中国の医薬・健康製品輸出入協会の2001年12月の会合で、上記4グループを含むビタミンC メーカーがビタミンC の輸出を制限して国際市場で不足状況を生むため、輸出数量を管理し、値上げをすることを決めた。需要家は4つのグループに対し集団訴訟を起こした。

NY 連邦地裁の裁判で、メーカー側はカルテルを否定せず、中国政府の命令に従っただけであり、カルテル実行者は米国の独禁法の被告にはならないとした。また価格カルテルは中国政府の行為であるとし、更に、中国政府は米国法で裁かれないともした。

地裁判事は2011年9月に、中国政府は優遇政策としてビタミンC カルテルを奨励しているが、メーカーに価格カルテルを強制するほどのレベルでなく、違反しても罰金はないと認定した。

これを受け、3つのグループは和解し、華北製薬 と 河北维尔康製薬のグループだけが残った。

New York Eastern District 地裁の判事は2013年3月14日、グループに153.3百万ドルの罰金を命じた。

両社は控訴し、連邦巡回区控訴裁判所は2016年9月20日、中国法が被告に対し外国で売られるビタミンCの価格を決め、数量を下げるよう要求しているとの正式の陳述書を中国政府が裁判所に提出していること、中国企業は中国法と米国の独禁法に同時に従うことができないということから、地裁は本件の管轄権を実行すべきでなかったと判断した。


しかし最高裁は
2018年6月14日、連邦裁判所は外国政府の主張に耳を傾ける必要はあるが、それにそのまま従う必要はないとし、更に審議するよう、下級審に差し戻した。

2018/6/19  米最高裁、中国政府主導の米国での価格カルテルを認めず

連邦巡回区控訴裁判所は審議の結果、2021年8月10日に2対1でメーカー側の勝訴の判決を下した。(詳細

これを受け、原告側は再度、最高裁に上告した。

連邦最高裁は10月3日、今回の連邦巡回区控訴裁判所の判決について審議しないことを決めた。連邦巡回区控訴裁判所の判決が確定した。

最高裁は前回、全く同様の案件で、中国政府の主張にそのまま従う必要はないとの意見を付けた上で、(独禁法に違反するとの判決ではなく)更に審議するよう差し戻した。控訴裁判所がそれを受けて再審議したうえで結論を出した以上、最高裁として再審議する必要はないと判断したと思われる。


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