三菱マテリアル、中国人元労働者側に「謝罪金」計25億円支払い

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人民日報は11月28日、戦時中の中国人強制連行問題をめぐり、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)と中国人元労働者側の2016年6月の和解合意に基づき、「歴史・人権・平和」基金を通じて、これまでに元労働者側の1290世帯に1億2900万元(約25億円)の「謝罪金」が支払われたと報じた。

2016年の和解合意では元労働者側に、1人あたり10万元(約190万円)を支払うことなどを柱としており、和解合意後の2019年、三菱マテリアルと中国側で基金が設置された。

人民日報は、これまでの支払いについて、元労働者側らが「十分に認めている」と伝え、評価する姿勢を示した。


三菱マテリアルは、2016年6月1日、北京市
において、第二次世界大戦中に中国人元労働者が同社の前身である旧三菱鉱業の事業所において労働を強いられたことについて、3 名の元労働者のと和解した。

同社は、歴史的責任に対し真摯かつ誠実な謝罪の意を表明し、3 名の元労働者に謝罪の証として 1 人当 10 万人民元を支払うことで合意した。

また、今後中国国内で基金を設立し、旧三菱鉱業の事業所において労働を強いられたその他の元労働者またはその遺族所在調査と和解、記念碑の建立等を行うこととした。

和解事業として、下記をおこなう。
基金の設立
基金運営資金の拠出
基金による所在未判明者の調査とその適格性確認
基金による謝罪の証としての金員の支払い
基金による記念碑の建立と慰霊追悼行事

同社の発表では、対象者は北海道の美唄炭鉱、大夕張炭鉱、雄別炭鉱、秋田県の尾去沢鉱業所、福岡県の勝田炭鉱、飯塚炭鉱、長崎県の端島炭鉱、高島炭鉱、崎戸炭鉱、宮崎県の10事業所に合計3,765人を受け入れている。

このうち、これまでに1,290人に支払ったことになる。

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戦時中の徴用工問題については、韓国では原告らが2015年5月に三菱重工業や日本製鉄、三井造船(現・三井E&S)、ENEOS、住友金属鉱山、三菱マテリアルなど17社(うち1社はその後、取り下げ)を相手取り提訴した。

韓国大法院は2018年10月、日本製鉄強制徴用の被害者が出した損害賠償訴訟で被害者の勝訴を確定した。日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、戦時中に日本の工場に動員された4人の韓国の元労働者に1人あたり約1000万円の賠償を命じた。その後も同種訴訟で日本企業敗訴が相次いでいる。

日本側は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本政府の見解に沿って賠償責任はないと主張している。

1965年の日韓請求権協定では、日本から韓国に対して,無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めている。

韓国の最高裁判所は、三菱重工業が韓国国内にもつ資産の売却命令に対する会社側の再抗告について、本年8月にひとまず判断を見送った。

2022/8/22 韓国最高裁 徴用めぐる三菱重工業の再抗告 判断を見送り

岸田首相は11月のASEAN首脳会議中に韓国の尹錫悦大統領との首脳会談で、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」問題の早期解決を図ることで一致した。 「(今年9月の)ニューヨークでの私と尹大統領との指示を受け、外交当局間での協議が加速していることを踏まえ、懸案の早期解決を図ることで改めて一致した」と語った。


サンフランシスコ平和条約では、連合国の日本への戦後補償請求権は放棄されることとなった。
放棄された「請求権」の主体は個人も含む。

しかし、当時、中華民国、中華人民共和国いずれを中国とするのか国際的に定まっていなかったため、中国中華民国と中華人民共和国)は同会議に招請されず、上記放棄条項を批准していない。

中国については、1972年9月の日中共同声明で、「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」としているが、個人の請求権の扱いについては触れていない。

中国の強制連行被害者が西松建設を相手におこした裁判では、日本の最高裁が2007年4月、裁判上の個人の請求権は日中共同声明により失われたとしながらも、「個人の実体的な請求権までは消滅していない」と判断、「被害者らの苦痛は極めて大きく、西松建設を含む関係者に被害救済の努力が期待される」として日本政府や企業による被害の回復に向けた自主的解決の期待を表明した。その後、2010年4月に西松建設は被害者らと正式に和解、謝罪し、記念碑を建立、和解金を支払っている。

西松建設は強制労働について歴史的責任を認めて謝罪。解決金として1億2800万円を中国の民間団体に信託し、新潟県の水力発電所建設に連行された中国人労働者183人への補償や慰霊碑の建立費用などに充てる。



三菱マテリアルの「謝罪金」支払いが公表されたことが、韓国側の姿勢に影響を与える可能性もある。

日韓請求権協定では日本から韓国に対して無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力を約束しており、賠償請求を放棄した中国とは差がある。



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