日本政府は11月4日、バイデン米政権による電気自動車(EV)の優遇税制に関し、日本製なども含めるよう見直しを求める意見書を提出した。
EV購入に伴う税控除を北米で組み立てた車に限定し、日本メーカーを排除することに対して、有志国との連携を重視する米国の戦略と「整合的ではない」とも批判するもので、同盟国たる日本メーカーが製造するEVも同等に税額控除を受けることができるよう運用することを求めた。
すでに立法に懸念を表明している韓国や欧州諸国に加わった。韓国は、自動車メーカーが米国で EV インセンティブを受け続けることができるようにするため、法律上 3 年間の猶予期間を求めている。
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バイデン米大統領は8月16日にインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022 に署名し、成立した。大統領は「気候変動に関するこれまでで最大の前進だ」と強調した。
新法では、
低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。
既存のEV減税は適用対象を自動車メーカーごとに20万台と定めていたが、台数の上限を撤廃する。
ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けた。さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。世界シェアの高い中国製品をサプライチェーン(供給網)から排除する狙い。
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米財務省は10月5日から意見を公募していた。
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意見書では下記について懸念を表した。
①北米地域以外からの輸入完成車が税控除の適用除外となったこと
②バッテリー材料の調達・加工要件が米国または米国の FTA 締結国に狭く限定されていること
③バッテリー部品の北米での製造・組み立て要件が導入されたこと
「有志国との連携の下で、強靭なサプライチェーンを目指す全体戦略と整合していない」と指摘し、優遇対象を限定することで、消費者の選択肢を狭め、「バイデン政権が掲げる野心的な気候目標達成の妨げとなるおそれがある」とした。
特定の国・地域のみが優遇されることで、日系の自動車、電池メーカーが投資をためらい、米国の投資や雇用の拡大に悪影響が出る可能性があるとも強調、同盟国たる日本メーカーが製造するEVも同等に税額控除を受けることができるよう運用することを求めた。
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