LG Energy Solution、米国Compass Mineralsから炭酸リチウムを調達

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LG Energy Solution は11月10日、米国の鉱物会社のCompass Mineralsとの間でバッテリーグレードの炭酸リチウムを購入する契約を締結したと発表した。

米国のインフレ対策法の新車購入時の税額控除の要件に対応する。

LG Energy Solutionは2025年から6年間、Compass Mineralsがユタ州OgdenGreat Salt Lakeでの開発計画(Ogdenで長年行っている硫酸カリ、塩、塩化マグネシウム生産の副産物としてリチウムを抽出)のPhase 1で生産する炭酸リチウム(年間約11,000トン)の40%の供給を受ける。

両社は計画のPhase 2での生産品についても誠意をもって協力するとしている。

Compass Mineralsは、EnergySource Minerals LLCの開発したリチウム直接抽出技術(ILiAD)を使用し、塩水からリチウムを直接抽出する。

環境にやさしい方法でのリチウム生産であり、他の工法に比べて炭素排出量が少ないのが特徴である。

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バイデン米大統領は8月16日にインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022 に署名し、同法案は成立した。大統領は「気候変動に関するこれまでで最大の前進だ」と強調した。

エネルギーコスト引き下げ、クリーンな生産、2030年までにカーボン排出の40%削減を狙い、3,690億ドルを投じる。

新法では、

低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。

既存のEV減税は適用対象を自動車メーカーごとに20万台と定めていたが、台数の上限を撤廃する。  

ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けた。さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。世界シェアの高い中国製品をサプライチェーン(供給網)から排除する狙い。

EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けたことについては、EUや韓国、日本は問題視している。

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LG Energy Solutionは、米現地でコア素材の供給を受けることになり、インフレ対策法案への対応力を高めることになった。

LG Energy Solutionでは、「環境にやさしいリチウムを生産するCompass Mineralsと契約し、インフレ対策法案への対応だけでなくESGの競争力を強化する『一石二鳥』の成果を上げることになった」としている。


LG Energy Solutionは、供給網の多角化のために、最近、グローバル鉱物業者との契約に攻撃的に乗り出している。

同社は9月22日、カナダ鉱物メーカーのElectra Battery Material Corp.、Avalon Advanced Materials、Snow Lake Lithiumとそれぞれ業務協約を結び、バッテリーの核心原材料である硫酸コバルト·水酸化リチウムなどの供給を受けることにしたと明らかにした。

2023年から3年間、北米地域で硫酸コバルトを精製できる唯一の供給業者であるElectraから硫酸コバルト7000トンの供給を受ける。

Avalonとは2025年から5年間、5万5000トン規模の水酸化リチウム供給契約を締結した。

Snowlakeからは10年間、水酸化リチウム20万トンの供給を受ける。

LG Energy Solutionは10月19日、オーストラリア黒鉛業者のSyrah Resourcesとの間で天然黒鉛供給の業務協約(MOU)を締結したと明らかにした。 2025年の天然黒鉛2000トンの供給を皮切りに、協力規模を持続的に拡大する。

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なお、LG Chem は11月15日、正極剤工場を米国に建設することを検討していると発表した。

ソウル経済新聞が同日、LGが米国のインフレ対策法案への対応として、テネシー州Clarksvilleで32億ドルを投じて建設すると報じたのに対し、発表したものだが、詳細は決まっていないとしている。

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