海底からレアアース採掘

| コメント(0)

政府は、小笠原諸島・南鳥島沖の水深6000メートルの海底で確認されているレアアース泥の採掘に乗り出す。

来年度に採掘法の確立に向けた技術開発に着手し、5年以内の試掘を目指す。2022年度第2次補正予算案にも、関連経費を盛り込む。

ーーー

東京大学大学院の加藤泰浩教授(地球資源学)らの研究グループが、「レアアース」を豊富に含む泥を南鳥島周辺の海底で発見した。2012年6月28日に資源地質学会で発表した。

国際共同研究などで採取された南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内の海底堆積物のボーリング試料を分析した結果、南鳥島の南西約300キロメートル、水深約5600メートルの海底の泥に最大約1700ppm、平均約1100ppmの高濃度でレアアースが含まれることを突きとめた。

2012/7/2 南鳥島沖にレアアース 


経済産業省は2013年7月20日、南鳥島の沖合の海底に存在するレアメタルついて、国際海底機構から探査の承認が得られたと発表した。
今後15年間にわたって日本が独占的にレアメタルの探査を行うことになる。

2013/7/24 南鳥島沖のレアメタル探査へ 

ーーー

採掘には内閣府の事業で今年8~9月、茨城県沖で試験が成功した世界初の技術を用いる。

レアアース泥は海底面直下に存在する堆積物であり、これまでは大量に海上に引き上げる技術は世界のどこにも存在しなかった。

内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム革新的深海資源調査技術と国立研究開発法人海洋研究開発機構は、深海に堆積するレアアース泥採鉱を可能にする技術を開発し、海洋研究開発機構が運航する地球深部探査船「ちきゅう」を用いて、茨城県沖水深2,470mの地点において実施した実海域試験で、海底堆積物の揚泥に世界で初めて成功した。

環境負荷を極力小さくする閉鎖系二重管揚泥方式(海底面から解泥機を差し込み装置内の堆積物に海水を注入して流動性のある状態にして揚泥管を通じて洋上に引き揚げる方式)を採用し、その上で「解泥」「集泥」「揚泥」を可能とする採鉱装置を一体化した新たな採鉱システム。

具体的には、採鉱装置(解泥機)を海底に差し込むことで海底のレアアース泥を採鉱装置に閉じ込める。

固く締まったレアアース泥は採鉱装置内の攪拌装置で攪拌され、海水と混ぜられることで懸濁液(スラリー化・液体化)となり揚泥管へと移送される。

その後は「ちきゅう」のライザー循環機能を活かし、揚泥菅内を垂直に循環する循環流を発生させ、この流れに沿う形で、レアアース泥を採鉱装置内から船上まで引き上げる。

実海域試験は、茨城沖水深2,470mの海域で2022年8月12日から9月2日にかけて、海底3か所の採鉱サイトにおいて上記の作業を実施し、1日あたりに換算して約70トンの堆積物の回収に成功した。

この深度での海底堆積物の揚泥は世界でも初めてのケースで、7件の特許申請を行なっている。

今回の実海域試験までに完成している3,000mまでの採鉱システムに加えて、南鳥島沖の水深6,000mに存在するレアアース泥回収の実現に必要となる残り3,000m分の揚泥管を入手して6,000m級のレアアース泥回収システムを完成させることで、速やかに南鳥島沖でのレアアース泥採鉱実験及び採鉱効率実証試験の実現を目指す。

1日350トンの採掘を目指す。

コメントする

月別 アーカイブ