バイデン米政権は11月17日、サウジアラビア人記者Jamal Khashoggi 氏殺害事件の訴訟を巡り、サウジのムハンマド皇太子は免責されると判断し、裁判所に見解を伝えた。
Khashoggi 氏は2018年10月、イスタンブールのサウジ領事館でサウジの工作員に殺害された。米情報機関はムハンマド皇太子がこの作戦を命じたと考えている。
この事件で、サウジ刑事裁判所は2019年12月、5人に死刑判決、3人に禁錮刑を言い渡したが、裁判所は2020年9月7日、8人の被告に禁錮7─20年の最終判決を言い渡した。遺族は2020年5月に被告らを許す意向を表明しており、これが減刑につながったとみられる。
国連の特別調査官は、事件の黒幕である高官らに処罰を与えず「司法を踏みにじった」とサウジ当局を非難した。
Khashoggi氏の元婚約者と人権団体はサウジ皇太子から損害賠償を求める民事裁判を米国で起こしていた。
サウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王は9月27日、ムハンマド皇太子を自身に代わる新たな首相に任命する勅令を発表した。
同国は国王が首相を兼務すると法律で定めているが、例外規定を適用した。ただし、サルマン国王が出席する閣議では、国王自身が引き続き議長を務める。
ムハンマド皇太子はこれまで副首相と国防相を務めていた。新たな国防相には、副国防相だった皇太子の実弟が任命される一方、新たな副首相は任命されず、空席となった。
上記の米国での民事裁判で、弁護側が皇太子の首相就任を理由に免責を主張したことが10月4日までに分かった。弁護側は裁判所に提出した文書で米国が過去に他国の元首の免責を認めた事例を引用し、首相就任で「免責を受ける権利を持つことは疑いない」と述べた。
今回、ホワイトハウス国家安全保障会議の報道官は、「これは慣習国際法の長年にわたる確立された原則に基づき国務省が下した法的判断 で、訴訟の実体とは関係ない」と述べた。 司法省の代理人はコロンビア特別区の米裁判所に提出した文書の中で、「国家元首免責の原則は慣習国際法において十分に確立されている」としている。
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