アラスカ州の中間選挙

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アラスカ州の中間選挙の結果が11月23日にようやく発表された。いずれもトランプ派が敗北した。

上院:

Lisa Murkowski(共和党) 現職、反トランプ 53.7%
Kelly Tshibaka(共和党) トランプ派の刺客 46.3%
Patricia Chesbro(民主党) 0%
Buzz Kelley(共和党) 0%


共和党のLisa Murkowski(現職)は、トランプ大統領支持者らによる昨年1月の連邦議会襲撃を受け、共和党上院議員として初めてトランプ氏の辞任を求め、その後、弾劾裁判でトランプ氏の有罪に投票した。

下院:

Mary Peltola(民主党) 現職、アラスカ先住民 54.9%
Sarah Palin(共和党) トランプ派、2008年の副大統領候補 45.1%
Nick Begich(共和党) 0%
Chris Bye(Libertarian) 0%


共和党下院議員 Don Young が2022年3月18日に死去、補欠選挙が8月末に行われた。その結果、Mary Peltola(民主党)が共和党のSarah Palin(元アラスカ州知事、元副大統領候補)を破り、アラスカ先住民として初めて連邦下院議員になった。Don Young 議員の残り任期を務め、今回、中間選挙に臨んだ。

8月末と今回と2回とも、Mary PeltolaがSarah Palinに勝利した。 先住民エスキモーにはイヌイット族とユピック族があるが、Sarah Palinの母親はユピック族。

Sarah Palinについて 2008/9/8 Governor Sarah Palin Alaska Gas Pipeline

今回、選挙結果の確定が遅れたこと、両院とも3位以下の得票率がゼロとなっていることは、アラスカ州で2020年の住民投票で導入が決まり、今回から採用された優先順位付き連記投票(Ranked choice general election )制度によるもの。

東部メイン州で2020年11月3日に行われた大統領選挙と連邦議会上下両院の選挙で米国で最初に採用された。西部ネバダ州でも導入に向けた動きが進んでいる。

Ranked choice general electionについて(NPB放送による説明):

得票率50%以上を勝利とし、ジョージア州のように50%以上が無しの場合に再選挙を避けるための仕組みを折り込んだ。

予備選挙により、候補者を4人までに制限、投票に当たり1位から4位までを予め、決めさせる。

1.予備選で候補を上位4人に絞る。

2.投票  候補に順位(rank)をつける。

  

3.集計の結果、1位が50%超の候補があれば、確定

4.全てが50%未満なら、最下位の候補の票をその票の第2rankの候補に配分

5.それでも全てが50%未満なら、3位の候補の票(配分を受けた最下位候補の票を含む)を2候補に配分
   (3位の候補の票を、2候補のうちの上位のrank の候補に配分)

従来の制度では、各党で強硬な主張をする候補が有利になりやすい。今回の制度では、逆転勝利もあり得ることとなる。


今回の投票結果と最終結果は下記の通り。

上院:

投票 最終
Lisa Murkowski(共和党) 現職、反トランプ 43.4% 53.7%
Kelly Tshibaka(共和党) トランプ派の刺客 42.6% 46.3%
Patricia Chesbro(民主党) 10.4% 0%
Buzz Kelley(共和党) 2.9% 0%


1位、2位はいずれも共和党候補となった。

下院:

投票 最終
Mary Peltola(民主党) 現職、アラスカ先住民 48.8% 54.9%
Sarah Palin(共和党) トランプ派、2008年の副大統領候補 25.7% 45.1%
Nick Begich(共和党) 23.3% 0%
Chris Bye(Libertarian) 1.7% 0%


Sarah Palinは共和党が割れたため、得票率は低いが、新制度で善戦した。但し、3位のNick Begichに入れた共和党員の多くが、第2ランクに共和党のSarah Palinではなく、民主党のMary Peltolaを入れたことを示している。

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