韓国産業通商資源部は12月14日、東部の慶尚北道蔚珍郡で新ハヌル原子力発電所1号機の完工式を開催した。
国内27基目の原発で、韓国が独自技術で開発した次世代型の原子炉「APR1400」を採用している。2010年の着工から12年を経て、今月7日に営業運転を開始した。
尹大統領はこの日の竣工式祝辞を通じて、前政府で推進していた脱原発政策の白紙化を公式化した。「独自の小型モジュール原子炉(SMR)の開発に合計4000億ウォンを投資し、未来の原発市場の主導権を確保していく」とも述べた。
「過去の政権で無理に推進された脱原発政策を廃棄して、原発政策を正常化した」とし「脱原発で萎縮した韓国の原発産業が活力を帯びて再び飛躍するだろう」と自評した。「政府は原発産業を我が国の輸出を導いていく支えにして、大韓民国が世界的な原発強国としての地位を今一度誇れるように積極的に支援する」とし、今年を「原発再飛躍元年」とした。
ウクライナ戦争とエネルギー価格の急騰で最近原発の重要性が大きく高まった。これについて尹大統領は大統領選挙でも「脱原発廃棄」を公約に掲げた。
文在寅前政権が定めた脱原子力政策を正式に撤回し、総発電量における原子力発電のシェアを上方修正すると表明。2030年に原子力で少なくとも総発電量の30%を賄う方針であることや、白紙撤回された新ハンウル3、4号機(各PWR、140万kW)建設計画の再開方針などを明確に示した。
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文在寅前大統領は選挙運動中に「新規の原発建設を全面中断し、建設計画を白紙化する」と公言していた。
2017年5月17日に、老朽火力発電の一時停止を命じたが、原発についても、老朽のものを閉鎖、建設中のものは見直し、今後40年で原発に頼らないエネルギー政策に切り替えると述べた。
同氏は大統領選挙前の2017年4月14日、脱原発市民団体6団体と反原発についての政策協定を結んだ。
2017/6/1 韓国、建設予定の原発の設計を中断、新大統領の脱原発方針の一環
しかし、文在寅大統領は2017年10月22日、建設途中の新古里原発5、6号機(蔚山市)の工事再開を有識者らでつくる公論化委員会が勧告したことを受け「建設を早期に再開する」と表明した。
建設中の5基(上記に加え、新古里4号機、新ハヌル1号機、2号機)は認め、計画中のものは白紙に戻した。
大統領は、脱原発政策を支障なく進める考えを強調した。「これ以上の新規の原発建設計画を全面中止し、エネルギー需給の安定性を確認次第、設計寿命を延長し、稼動中の月城1号機の運転を中止する」とした。
2017/10/26 韓国大統領、新古里原発5、6号機の建設再開を表明
新古里原発4号機は2019年4月22日、初めて送電網に接続され、送電を開始した。
原子力関連団体と保守政界が政府の脱原発政策に反対する国民署名運動に本格的に突入した。
署名運動本部は、2018年12月から脱原発政策反対と新ハヌル3・4号機の建設再開を要求して署名運動を開始した。2019年1月21日に国民33万人の署名をそろえ、大統領に宛てた5枚の手紙と一緒に、大統領府に渡した。(政府は無視)
原子力安全委員会は2019年12月24日、韓国水力原子力が2019年2月28日に申請した月城原発1号機の永久停止運営変更案を賛成5、反対2で承認した。月城原発1号機は古里原発1号機に続き、国内で2番目の永久停止原発となる。
2019/12/30 韓国の月城原発1号機、ようやく永久停止決定
今回、尹大統領はこの日の竣工式祝辞を通じて、前政府で推進していた脱原発政策の白紙化を公式化した。
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