米政府、GMとLGのバッテリー合弁会社に25億ドルの融資

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米国エネルギー省(DOE)は12月12日、GMとLG Energy Solution のJVのUltium Cells LLCのオハイオ州とテネシー州、ミシガン州のリチウムイオンバッテリーセル製造施設の建設資金として、最高25億ドルの融資を承認したと発表した。

このバッテリーセル製造施設の建設によって約1万1,000人以上の雇用が創出される見込み。

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GMとLG Chemは2019年12月5日、オハイオ州Lordstown の近辺に23億ドルを投資してEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。
折半出資の合弁会社Ultium Cells LLCを通じて最大で総額23億ドルを投資する。

Ultium Cells LLCは2021年4月16日、テネシー州スプリングヒルに約23億ドルを投資し、新型電池Ultiumバッテリーの工場を建設すると発表した。

GMは2022年1月25日、EVの生産能力の強化に向けて、米国で3つ目となる新たな電池工場の建設を発表した。

LG Energy Solution との50/50 JVのUltium Cells LLCが26億ドルを投じ、ミシガン州 Lansing に第3工場を建設する。

本年夏に土地の整備を始め、電池生産の開始は2024年後半となる。

2022/1/28 GM、米国で3つ目の電池工場を建設、電気自動車生産投資も

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今回の融資は、融資プログラム局(LPO)が「先端技術車両製造ローンプログラム」(Advanced Technology Vehicles Manufacturing Loan Program)の下で、米国内のバッテリーセル製造計画に融資を実行した最初の例となる。

2007年のエネルギー自立・安全(Energy Independence and Security Act of 2007EISA)によって認められた融資プログラムで、これまでにフォード、日産、テスラなどが同プログラムによる融資を受けており、直近では4月にオーストラリアの鉱物探査会社シラーテクノロジーズがリチウムイオン電池材料のルイジアナ州での生産拡大に対して承認を受けた。

同プログラムは、先進技術を利用した自動車やそれらの部品を製造する国内設備の整備・拡張、また新工場の建設に対して DOE が融資を行うものであり、これらの設備で製造される自動車は、燃費性能の大幅な向上が見込めるものでなければならない。

20096月、オバマ政権は、国家の海外石油依存の危険を減少させるとともに、何千人ものグリーン・ジョブを作る革新的で先進な輸送技術の開発に対して、80 億ドルの条件付き貸付予約を公表した。

・フォード自動車に対する 59 億ドル:イリノイ、ケンタッキー、ミシガン、ミズーリおよび、オハイオ州の工場で、燃料効率の良いモデル用に工場製造ラインを改造
・北米日産に対する 16 億ドル:先進的な電気自動車の組み立てと先進的なバッテリー製造設備を設置するために、テネシー州のスマーナ工場の機械設備を更新
・テスラ社に対する 4.65 億ドル:カリフォルニアでの電気のドライブトレーン(動力伝達装置)および電気自動車の製造

エネルギー省の融資プログラム局は2022年4月18日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラへのサプライヤーであるオーストラリアの鉱物探査会社Syrah Technologies, LLCに対し、最大1億700万ドルの融資を承認したことを発表した。
融資は「先端技術車両製造(ATVM)ローンプログラム」の枠組みを通じたもので、米ルイジアナ州Vidaliaの同社施設でのリチウムイオン電池材料の生産拡張に向けた資金として利用される。

LPOが177億ドルの融資権限を持つが、これまでフォード、日産、テスラに対し合計約80億ドルが融資されたが、2011年以降は利用されておらず、今回10年以上ぶりに活用されることとなる。

今回の融資は、リチウムイオン電池の負極材に利用されるグラファイト(黒鉛)の生産拡張に対するもの。Syrah は2040年までにEV約250万台分のグラファイトを生産する計画で、そのほとんどは2021年12月に4年間の供給契約を結んだテスラに供給される。原材料の天然黒鉛は、同社の親会社が所有するモザンビークのバラマの鉱山から採掘したもので、原材料から生産まで同社による一括管理が行われており、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からも評価されている。

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