オマーンとLNGの長期契約基本合意

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三井物産と伊藤忠商事、JERAは、12月27日、オマーンとの間で10年程度の長期契約を結び、2025年以降、年間で235万トンのLNGを新たに輸入することで基本合意した。

このうち JERAは2025年から10年間、年間最大80万トンを調達する。

Oman Liquefied Natural Gas LLC (Oman LNG) は1994年に設立された。2013年にQalhat LNGを統合した。


現在の株主は以下の通り。

オマーン政府 51.00%
Shell 30.00%
Total 5.54%
Korea LNG 5.00%
三菱商事 2.77%
三井物産 2.77%
PTTEP Oman E&P 2.00%
伊藤忠 0.92%

伊藤忠商事はオマーンLNGと2006年から25年の20年間で年間70万トンの売買契約を結んでいる。

これに先立って現地を訪れている西村経済産業大臣は「LNGの需給が引き続きひっ迫すると見込まれる中、日本のエネルギー安全保障にとって極めて有意義なものだ」と強調した。

オマーン産のLNGをめぐっては三井物産や伊藤忠商事などが権益の一部を保有していて、日本は現在、LNGの輸入量全体の2.6%にあたる年間190万トン余りをオマーンから輸入している。

オマーンの輸出拠点は、ペルシャ湾のホルムズ海峡の外側にあることから、紛争などの影響を受けにく、日本としては今後の安定調達につながる重要な輸入先と位置づけている。

オマーンとはほかの日本企業も交渉を行っており、仮に合意すれば将来的な輸入量は最大で年間300万トン以上に増える可能性がある。

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ロシアのウクライナ侵攻を受け、LNGは取り合いになっているが、それまでは日本企業はLNGの長期契約には消極的であった。

2021年11月にJERAはカタールとのLNGの大型長期契約の更新をせず、2021年末で終了した。

2022年9月に日本が主催するLNGの国際会議で、世界屈指の輸出国であるカタールのエネルギー相が自国との大型LNG売買契約を打ち切った日本を皮肉る一幕があった。

東京電力ホールディングスと中部電力の火力・燃料合弁会社のJERAは2021年11月25日、2021年が契約期間の最終年であるカタールとの年間550万トン規模の液化天然ガス(LNG)長期売買契約について、延長しない方向で検討していることを明らかにした。

JERAの小野田聡社長はオンライン記者会見で、世界的なLNG市場の発展や国内の電力・ガス市場自由化によるLEGの位置付け変化などにより、従来のような長期間の大型LNG契約を継続することが難しくなっていると語った。

LNG輸入者国際グループによると、2021年末に満了となる契約のほか、カタールとの間には2028年までの年間70万トンの契約も残る。小野田氏は同国と「友好な関係は継続していきたい」と話した。

契約打ち切りの背景には脱炭素化の流れなどを受けてLNGの中長期的な需要が見通しにくい状況となってることがある。LNG契約では定められた向け先以外の場所への転売を制限する条項が根強く残っており、日本の電力・ガス各社は余剰を抱えることになりかねない長期契約の締結に及び腰となっている。また、契約更新見送り時には、ウクライナ侵攻などでこれほどLNG需給が厳しくなることを予見することも難しかった。

公正取引委員会が2017年に「仕向け地条項」は独占禁止法違反の疑いがあるとの報告書をとりまとめたのを機に、国内の電力・ガス会社は供給者側に同条項の緩和を働きかけてきた。ただ、カタール側は制限緩和に難色を示していたとされており、柔軟性を求めるJERAと物別れに終わった一因となった可能性がある。

経産省の保坂伸資源エネルギー庁長官は、脱炭素化の時代の中で、LNGの売り手側が求める契約期間が20-30年間に及ぶ長期契約を締結することは容易ではない、との見方を示した。

LNG長期契約の終了に伴いカタールからのLNG輸入は激減。貿易統計によると2022年1-8月期のカタールからの輸入量は、前年同期比6割以上減少し約216万トンにまで落ち込んている。その一方で、ロシア・ウクライナ危機によってLNGの需給は世界的に逼迫しており、世界有数のLNG輸出国であるカタールは急速に存在感を高めている。


 

参考 オマーン、カタールのガス田

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