米上院、同性婚の権利を連邦レベルで保障する法案を可決 近く下院で可決し、成立の見通し  

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米上院は11月29日、同性婚の権利を連邦レベルで保障する法案(H.R.8404 - Respect for Marriage Act)を賛成多数で可決した。下院も 今週に通過する見通しで、バイデン大統領は同日発表した声明の中で「アメリカ国民は愛する人と結婚する権利がある」として、下院での可決後に直ちに署名し、成立させる考えを示した。


成立すれば、連邦法で同性婚の権利を保障するのは初めてになる。

上院は現在、民主、共和両党が各50議席を占める。性的少数者の権利擁護を重視する民主党系議員のほか 、共和党議員の一部も賛成して超党派で可決した。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 12 47 2 61
反対 36 36
棄権 2 1 3
合計 50 48 2 100


付記  下院は12月8日、これを可決した。

  共和党 民主党 欠員 合計
賛成 39 219 258
反対 169 169
棄権 5 5
合計 212 220 3 435


バイデン米大統領は12月13日、この法案に署名し、同法が成立した。


米連邦裁は同性婚の権利を保障する判断をしている。

米連邦最高裁判所は2015年6月26日、同性婚の権利は男女の結婚と同様、法の下の平等をうたう合衆国憲法によって保障されており、同性婚を禁止する州法は違憲に当たるとの歴史的判断を示した。
オハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシーの4州の州法が同性婚を禁じていたが、その合憲性についてオハイオの連邦高裁が2014年11月に禁止を支持する判断を下し、最高裁に判断が委ねられた。

保守4人が禁止は合憲とし、リベラル4人が違憲で、保守系中道のAnthony Kennedy 判事が違憲に回った。

Anthony Kennedy 判事は判決文のなかで「結婚を望む同性愛者は、孤独な生活を余儀なくされたり(婚姻という)文明上最古の制度の一つから締め出されるべきでないとの願いを寄せている。すなわち彼らは法の下の平等と尊厳を希求しているのであって、合衆国憲法はこれを保障するものである」と述べた。

2020/6/19 職場でのLGBT 差別は公民権法違反、米最高裁が初判断 に記載


現在の
米連邦最高裁は保守派が中心で、6月24日には中絶の権利に関して、1973年の「Roe v. Wade判決」を覆す判断を下している。

2022/5/10 米最高裁の中絶権判例を覆す意見草案 付記


同性婚に関しても、最高裁が以前の判断を覆す可能性が非常に強いとみられている。

このため、 法案を提出した与党・民主党としては連邦レベルでの法律の制定を急ぎ、機先を制した。

今回の法案では、すべての州に対し、ほかの州で認められた同性婚のカップルの権利を認めなければならないとしている。

もし連邦最高裁が判断を覆し、一部の州での同性婚禁止を認めたとしても、ほかの州で認められた同性婚のカップルの権利はその州に移っても維持されることになる。

H.R.8404 - Respect for Marriage Act

§ 7. Marriage

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