プーチン大統領、ロシア産の原油制裁国に輸出禁止の大統領令

| コメント(0)

ロシアのプーチン大統領は12月27日、同国産原油の輸入価格に上限を設けた国に対し、原油の輸出を禁止する大統領令に署名した。

ーーー

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、G7、オーストラリア、EUが12月5日にロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル=60ドルに設定するなどとした新たな制裁措置を発動した。

ロシアの戦費を削ることが狙いで、価格の急騰など市場の混乱を避け、ロシア産原油が国際市場に供給される流れを保つ目的もある。

上限価格60ドルを超えて取引する場合には、海上輸送に欠かせない保険契約ができないようにした。

G7、オーストラリア、EUの管轄下にある者は、プライスキャップ価格以下で販売されていない限り、ロシア産原油および石油製品の輸送、あるいは輸送を可能にする保険、最保険を含むサービスの提供は禁止されることになった。

禁止は、G7、オーストラリア、EU以外の第三国からの、または第三国への輸送にまで及ぶ。多くのグローバルな石油輸送、保険企業はG7諸国に本部を置いている。 上限価格措置の発動により、中国やインドについても、原油の海上輸送の保険枠組みに巻き込むことで、ロシア産原油の輸入を減少・抑制させる思惑がある。

日本政府はG7の合意に基づき、ロシア産原油の上限価格を超えた輸入を禁じた。但し、日本企業が参画するロシアの資源開発事業「サハリン2」で産出する原油は制裁の対象外としている。サハリン2プロジェクトからの原油の日本への輸入に関連するサービスの提供については、同志国間で例外とすることで合意しており、当該購入の価格が上限価格を上回っていても、再保険サービス等については、各国(米、英、EU)の規制対象とはならない。

政府 ロシア産原油等に係る上限価格措置(プライス・キャップ制度)のQ&A


これに対しプーチン大統領は、「我々はそのような決定をする国には原油を売らない」と述べ、「必要であれば減産の可能性についても考えていく」とも発言し、西側諸国をけん制した。


ーーー

この発言の通り、輸入価格に上限を設けた国に対し、2023年2月1日から7月1日まで5カ月、原油輸出を禁じる。石油製品も対象とし、同年2月以降で政府が定めた日から適用する。プーチン氏の特別な決定があれば、禁輸を解除できる。

「米国やその他の国のほか、こうした国に賛同する国際機関による非友好的で国際法に反する行動」への直接的な対応としてロシア産原油と原油製品の供給を禁止するとし、「最終購入者に至るまでのすべての供給段階に適用される」と表明した。

日本は「サハリン2」で産出する原油は制裁の対象外としているが、これに対するロシア側の反応は明確になっていない。


ロシアのUrals oil は12月27日時点で上限以下の $56 で取引されている。




コメントする

月別 アーカイブ