第一三共、COVID-19に対するmRNAワクチンDS-5670の国内における製造販売承認申請  

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第一三共は1月13、開発中の新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン 「DS-5670」について、追加免疫の国内製造販売承認申請を行った。

国内の既承認のmRNAワクチン(Pfizer-BioNTech、Moderna)の初回免疫(2回接種)完了後の健康成人及び高齢者約5,000名を対象とした国内第1/2/3相臨床試験の結果に基づくもの。

同社のワクチンはPfizerやModernaと同様、mRNAを使うものである。mRNAは体内に入ると分解されてしまうため、脂質の膜にくるんでワクチンとして投与するが、第一三共は独自技術を用いた材料を膜に使用し、接種後の炎症が起きにくくなることが期待できるという。

同社では、日々変異を続ける新型コロナウイルスに対して、DS-5670のオミクロン株対応ワクチン(起源株とオミクロン株の二価ワクチン)の臨床試験実施を計画している。

また、平時の安定供給とともに、新興・再興感染症の発生時でも迅速に提供できるよう、国内mRNAワクチンの開発と生産体制の強化に努めるとしている。厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業(第1次公募)」の事業者に採択され、子会社の第一三共バイオテックの工場にDS-5670の生産体制を整備している。


同社は2021年3月にDS-5670」の臨床試験(治験)を始めた。日本人152人を対象として、安全性や有効性を確認する初期段階の治験である。
2目投与4週間後までに大きな問題は認められず、免疫原性については、投与後に中和活性及びIgGの上昇が確認された。

2021年10月に国内第2相臨床試験を開始した。良好な結果に基づき、2022年9月にワクチン未接種の健康成人を対象とした国内第3相臨床試験における初回投与を開始した。

しかし、国内では既にPfizer-BioNTechとModernaのワクチン接種が広く実施されている一方、オミクロン株の急激な感染拡大を受け、追加接種体制の整備が世界的に大きな課題となっている。このため同社は新たな課題への取組みを最優先し、2022年1月に同社のmRNAワクチン「DS-5670」の追加投与によるブースター効果を検討する国内臨床試験を開始した。

国内において承認された
Pfizer-BioNTech、Modernaのワクチンによる初回接種(1回目・2目接種)完了済みで、接種から6か月以上経過した健康成人及び高齢者を対象とした国内第1/2/3相試験で、DS-5670の追加投与時の安全性と有効性を評価するもの。

2022年10月に主要評価項目を達成した結果を発表した。今回の申請はこれに基づくもの。

主要評価項目である投与4週間後の血中SARS-CoV-2(起源株)中和活性の幾何平均上昇倍率において、DS-5670群は国内既承認mRNAワクチン(起源株)群と比較して高い値を示し、非劣性であることが検証された。
また、安全性では、臨床上の懸念
は認めらなかった。

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第一三共の今回の申請は、塩野義製薬に次ぐ国内メーカーとしての2番目の申請である。

塩野義製薬は2022年11月24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチン(開発番号:S-268019)について、成人における初回免疫(1回目、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)によるCOVID-19の予防を適応として、日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表した。

国内の製薬会社が開発を進めてきた新型コロナワクチンの承認申請は初めて。

S-268019は、同社グループ会社のUMNファーマが有するBEVS(昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術)を活用した遺伝子組換えタンパクワクチンで、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に、アジュバントを添加して投与される。

2022/11/26 塩野義製薬、COVID-19ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請 




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